全日空は、今年度の最終赤字が5000億円規模と過去最大に膨らむ見通しを発表した。旅客は国内線、国際線とも8割減、9割減が当たり前になっているのだから当然といえば当然だ。そんななか、花形職業としてあこがれの存在だったCA(キャビン・アテンダント)の生活も仕事も一変しているようだ。現役CAたちが社内の内幕を証言した。
勤務が減り、収入も減るCAが続出するなか、意外にもCA同士の結束は高まっているのだという。
「CA同士はもともとそんなに仲が良い関係ばかりじゃない。誰と組みたくないとか、あの人は苦手といった話題はホントに多い。けど、今は月に1回しか飛ばないなんてこともザラなので、そういう不満やストレスはなくなって、人間関係は過去最高に良くなったと思いますよ(笑い)。お局サマたちも、くるくる変わるオペレーションのルールを若い子に聞かないとわからないから、私たちを頼るようになった。ようやく提供が再開された温かいドリンクに蓋を付けるのか付けないのかとか、ミネラルウォーターは開けてから渡すかそのまま渡すかとか、ベテランCAの人たちはいちいちチェックしてませんから」(大手エアライン若手CA)
もっとも、仲良しムードにもやはり例外はあるようで。
「海外の日本人を帰国させる特別便が運航されたじゃないですか。あれ、乗務すると感染拡大防止のために、そのあと2週間は休めたんです。だから私も飛びたいと思いましたけど、みんな考えることは同じで、蓋を開けてみれば、飛んだのはベテランの管理職CAばかりでした。病院だったら、みんな看護師長みたいなフライトでしたよ(笑い)。でもね、そういう人たちは絶対に仲良くできない関係も結構多くて、フライトではバチバチだったらしいですよ」(別の大手中堅CA)
苦労の絶えないCAたちをよそに、今も社内で羨望の的になっているのがパイロットたちだという。前出の若手CAが明かす。
「フライトがなくなったのは、もちろんパイロットも同じです。それでも、会社は業績回復したときにパイロットがいないと困るから、給料は下がっていないみたいなんです。仲のいい50代のキャプテン(機長)なんて、ほとんど飛んでいないのに年収は2000万円以上を維持していると言ってましたね。キャプテンの給料って、乗務する機種の定員によって違うんですが、もっと大きな機種のキャプテンなんか、年収4000万円以上らしい。ほとんど飛ばなくてそれですから、私たちと違ってコロナで喜んでるかもしれませんね」