シニア層がスマホの操作に慣れていないため、決済後も何度も購入ボタンを押して買いすぎてしまう事例などは良心的なほうで、1回限りのつもりが定期購入になっていたというケースでは、購入者が気づきにくい形を狙っているようなものも少なくない。スマホなどで購入する場合はとくに注意書きが小さく、定期購入になるとか2回目以降は高額になるなどの記載がわざと気づけないようなものになっていることもある。
冒頭でご紹介した50代女性の父は、使いもしないサプリを届くがままにして払い続けたのはなぜなのか。
「ネットでしかキャンセルできないから。どうやってキャンセルしたらいいのか、分からなかった」
とキャンセルを諦めていた。なんらかの方法を、誰かに相談すれば見つけられたかもしれないが、自分がしくじってしまったことも含めて打ち明ける気力がなくなっていたのだろう。
また、これは彼女の父についてというわけではないが、人間は誰でも年をとるとどうしても判断力が落ちる。さらに、家族は認めたくないことだろうが、認知機能低下により、購入したことを忘れて何度も購入してしまうケースも少なくない。家中がネットショッピングで届いた不要品で埋まる前に、厳しいかもしれない現実とは向き合っておいた方がよいだろう。
高齢の親の状況は、家族が様子を見守り、定期的に確認する必要がありそうだ。また、いざという時には地元の消費生活センターへ相談するのがよいが、そこへ繋げてもらえる消費者ホットライン「188」へ簡単に電話できる設定をスマホに入れておけないものだろうか。日本は今後、さらに高齢者の人口が増えることが確実で、ネットも今以上に利用されることになる。いま高齢者ではない人も、遠からず年をとる。転ばぬ先の杖として、トラブル対処についてはよく準備したい。