生と死について語った

生と死、笑顔についても語った

小笠原:そう思われる人が多いですね。しかし、在宅ホスピス緩和ケアを受けると、ひとりでも最期まで機嫌よく暮らして、笑顔で旅立たれるかたが多いんですよ。いまは介護保険を使って、生活に必要な様々なサービスを受けられますからね。「お母さん、元気?」とオンラインケアがあれば最高です。ケアには体を拭いたり食事介助などの行為としてのケアと、心のケアの2つがあります。ひとり暮らしでも、心のケアがあれば身も心も周りの気さえも暖かくなって、寂しくはないはずです。

坂東:本当にその通りです。心がつながっていれば孤独じゃない。むしろ家族と同居していても心が通じず、孤独というケースが多いですね。

小笠原:コロナの時代、病院内孤独死が増えています。心のケアがあれば、ひとり暮らしでも孤独死ではない。実際にぼくの著書を読んで、小笠原内科で在宅ケアを受けるために市外・県外から引っ越してくるかたも増えています。

坂東:まぁ、すごい吸引力(笑い)。

小笠原:アパートでも一戸建てでも、ひとりなら自分のお城なので自由があります。病院や施設は規則で自由にお酒も飲めないでしょ(笑い)。酒を飲んで朗らかでいたら早死になんてしませんよね(笑い)。昔から、酒は百薬の長、笑う門には福来たるっていうじゃないですか。

坂東:確かに免疫力を高めるには、笑うのがいちばんといいますね。私は『70歳のたしなみ』で、70才から必要なのは、上機嫌で過ごすことだと書きました。そのためには、かたちだけのニセ笑いでいいから、口角を上げていることが大事です。笑っていると自分の気持ちが励まされて、明るくなってきます。

小笠原:そこは大きなポイントです。コロナの時代になかなか自然に笑うことはないかもしれないけど、笑ったつもりになって、「ワッハッハッハ!」と声を出せばいい。

坂東:年齢を重ねた女性はよく「ありのままに生きたい」と言いますが、それでは気分に流されて、どんどん落ち込みます。特にいまは「感染者が〇人を突破した」「重症者が過去最高になった」という情報ばかりで気が滅入ってしまう。こんなときこそ心を入れ替え、「私にはこれができるんだ!」と明確な意思を持って自分をマネージしていかないと、あっさりコロナに負けちゃいます。

小笠原:本当にそうですね。

坂東:コロナで苦しんでいる人を励ますことも心がけたいですね。私の身近にもコロナですれ違うようになって離婚した若い夫婦がいますが、そういう人たちを応援するとか。故郷に住む親になかなか会えない人もいるでしょうが、オンラインでも電話でもハガキでも、思い出したときにコンタクトすれば、心の絆が保たれるんじゃないかと思います。

小笠原:その通りですね。コロナの中、緊急退院したある患者は、東京の孫娘がニコっと笑う動画を見てすごく喜びました。医師より孫のオンラインケアです(笑い)。

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