二階俊博・幹事長は「総理は果断に対応した」とかばった(時事通信フォト)

二階俊博・幹事長は「総理は果断に対応した」とかばった(時事通信フォト)

【菅語録】“専門家が大丈夫というから”の責任転嫁

 菅首相は自らの非を認めて改めようとしない。そこに不信の念が生じる。緊急事態宣言に消極的だった菅首相は、1都3県に宣言を出すにあたってこう述べている。

「北海道、大阪など、(飲食業の)時間短縮を行なった県では効果が出て、陽性者が下降してきております」(1月4日の会見)

 仲のいい知事がいる自治体を持ち上げ、犬猿の仲である小池百合子・都知事による“東京の対応が悪かった”といわんばかりだった。

 ところが、その大阪など7府県にも東京の1週間後に宣言を出すことになり、記者会見で「見通しが甘かった」と質問されると、今度は専門家に責任転嫁する。

「大阪の感染者が急増したのは直前のことであり、先週の段階では、専門家の皆さんからもよく原因を分析すべきである、そうした評価でありました」(1月13日の会見)

 エコヒイキで目が曇り、対策が後手に回るのだ。

【菅語録】「仮定のことは考えない」で説明放棄

 1月7日の緊急事態宣言会見で、「1か月後には必ず事態を改善させる」と語った翌日、テレビ朝日の『報道ステーション』で「結果が出なかった場合、緊急事態宣言の対象拡大や期間延長があるか」を問われると“菅話法”でこう返した。

「仮定のことは考えない」

 国語学者の金田一秀穂・杏林大学外国語学部教授が語る。

「『仮定のことは考えない』という菅総理の話法の特徴は、議論の前提をなくし、議論にもちこませないでやり過ごすことです。これを『姑息』といいます。本来は“その場限り”という意味で、手の内をさらさないで当座をしのぎ、丸く収める方向に持っていこうとするもの。こういう手法を取る人は交渉役には向くが、有事には向かない。新型コロナは未曾有のことで、ウイルスは交渉で丸く収まる相手ではない。その場しのぎの話法に効力はなく、菅総理の発言は国民にわからない、伝わらないということになる」

 有事における総理の資質に大きな疑問符がつくわけだ。

※週刊ポスト2021年2月5日号

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