だが死角もある。すべてにパスポートが必要とされ、不携帯であれば一切の自由を奪われる。それだけではない。

「ワクチンを打つか打たないかは個人の自由なのに、パスポートを持たない人が入店やサービスなどを拒まれることになれば、差別そのものです。妊婦や持病を持つ高齢者など、ワクチンを接種したくてもできない人が不利益を被ることにもなりかねません」(医療ジャーナリスト)

 ワクチンパスポートを巡って今後の生活に影響が出るのは、待望の海外旅行だろう。

「日本の主要航空会社も加盟する国際航空運送協会は、搭乗手続きのスマート化としてスマートフォンのアプリを使ってワクチン接種の有無を確認する実証実験を進めることを発表しています。規制が厳しい航空会社が出てくれば、接種率が著しく低い日本人にとって、海外旅行に行きづらい日々になるでしょうね」(航空ジャーナリスト)

 日本国内での生活で考えてみても、前出の一石さんは、意外な施設に3年の間で変化が起こるだろうと語る。

「葬儀の主催者は現在も、コロナ感染対策で参列者を減らす方針を取ることが多い。遠隔地から向かう高齢者のかたも多かったこれまでの葬儀の形はなくなり、オンライン葬儀が主流になっていくのではないでしょうか。電子決済で香典を送ったり、オンラインで故人へのメッセージを送るなど葬儀の形は大きく変わっていく可能性があります」

 買い物も、旅行も、外食も思うようにできないだけでなく、冠婚葬祭も遠隔に。学校や会社もオンラインで、1週間知人と直接会わないのも普通……。衝撃的な“終わりなき”日常を前に、いま一度生活を見直すしかない。

※女性セブン2021年4月29日号

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