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寝たきりにならないよう、筋力維持に努めていた橋田さん

 橋田さんが運動と同じくらい気を配っていたのは食事だ。

「朝は金柑を煮たものと黒豆を食べ、ほうじ茶を飲む。トレーニングをした後はしっかりと昼食を摂るなど、食事にも気を使っていました」(八代さん)

 とはいえ、がまんばかりしていたわけではない。熱海には行きつけのステーキハウスやイタリアンレストランがあり、共演者やスタッフと食事を楽しむことも多かった。

 40年来の“常連”だったという『ステーキハウスはまだ』の水谷正太郎さん(69才)が振り返る。

「ご自身は好きなものを少しずつ食べ、“食べて食べて”とお客様をもてなしていた。揚げものがお好きで、当店のメニューにないメンチカツをお出ししたこともあるし、よく一緒にいらしていたプロデューサーの石井ふく子さん(94才)の好物だからといって、特別に鉄板焼きで作ったすき焼きをお出ししたこともあります。目の前の鉄板で、薄く切ったステーキ用の肉を割り下で焼いて、溶き卵で召し上がる。割り下に砂糖が入っているので鉄板がベトベトになるのを気にして、すき焼きをやるたびに“ごめんね、ごめんね”と謝りながらも、おいしそうに召し上がってくださいました」

 イタリアンレストラン『MON』の女将は、まるでテレビドラマのセットのような場面を目撃したことがあった。

「一度、角野卓造さんや岡本信人さん、中田喜子さんといらしたときがあり、店内がまるで“渡鬼”みたいな雰囲気に(笑い)。皆さん気さくに、楽しそうにお話しされていたことをよく覚えています。先生がお好きだったのは『かぼちゃのスープ』『トマトのブルスケッタ』『ボンゴレパスタ』。量が多いと感じたときは、箸をつける前に同席のかたに分けていて、食事量をコントロールしていることに感心したものです」

 パーソナルトレーニングで汗を流した後は、昭和11年創業の老舗パン店『菊香堂』に立ち寄り、コロッケなど総菜を挟んだコッペパンを買うのも楽しみだった。

 東京都立大学名誉教授で健康長寿に関する研究を続けている星旦二さんは「ピンピンコロリには、バランスのとれた楽しい食事がもっとも重要」だと言う。

「高齢者1.3万人の6年間追跡調査では、毎日飲酒をしてやや肥満であり、喫煙をしない人が健康長寿でした。楽しく食べ、家族や仲間とお酒を楽しむ人がピンピンコロリを実現しました」

※女性セブン2021年4月29日号

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