私自身の経験から言えるのは、「宇宙に行くこと」とは「地球を知ること」。宇宙から青い地球を見上げるように眺めると、私たちにとって地球こそが宇宙の中の憧れであり、かけがえのない場所であるのだと感じます。「宇宙船地球号」という言葉が、文字通り強烈に実感されるのです。多くの人が宇宙から地球を見る経験を重ねていくことで、そうした感覚が広まっていくことを期待しています。
【プロフィール】
山崎直子(やまざき・なおこ)/日本人女性2人目の宇宙飛行士。2010年のミッションでは、野口聡一によってISSに迎えられた。訓練期間中の出産を経て、家庭との両立に悩みながら宇宙飛行に辿り着いた経験を持つ。現在も日本の宇宙開発についての提言、普及活動を積極的に行っている。
取材・文/稲泉連
※週刊ポスト2021年4月30日号