ポジティブで、楽観的だ。これまでの数々のインタビューを見ても、その言葉から感じられるのは彼の「楽観主義」だろう。それも「正当な楽観主義」だ。世の中のあらゆる成功ルールを検証した『残酷すぎる成功法則 9割間違える「その常識」を科学する』(エリック・バーカー著、飛鳥新社)によると、どんな困難も乗り越える人に「必ず共通する習性」として、「ポジティブな心のつぶやき」があるという。そしてこの本では、困難なことをゲームに例え、それを面白くするのは「正当な楽観主義」だと書かれている。正当な楽観主義とは、楽観的になれる正当な根拠があるということだ。
「できると思っているのでやっている」という大谷の言葉は、まさに勝てる見込みがある、そう言い切れる根拠があると思っているからこそのものだろう。これまで誰も主力とするほどに操れたことのない二刀流で、これだけの結果を出し続ける大谷選手だからこそ、本能的に感じていること、感覚的に分かるものがあるのだろう。
前述した本によると、正当な楽観主義があれば、ゲームは難しいほど面白くなり、失敗してもそれを楽しんでいられるという。最近の大谷選手のインタビューでは、ゲームや投球が思うようにいかなかった時でも、冷静で前向きな発言で暗い表情を見せることはない。きっと辛さもしんどさも、彼にとっては野球の楽しさに通じるのだろう。
オールスターファン投票の中間発表では、アメリカン・リーグ指名打者部門で首位を走っている大谷選手。二刀流で出場するには、調整しなければならない問題がいくつかあるというが、投げて、打って、走って、守って二刀流以上に活躍する彼の姿を、是非ともオールスターで見せてほしいと思う。