「山田さんは2005年に『電車男』で映画初主演を務めて、その後は『クローズZERO』シリーズがヒット作になりましたけど、一番の転機となった作品は主演作の『闇金ウシジマくん』シリーズでしょう。『闇金ウシジマくん』は漫画が原作なのでそのままモノマネすることは不可能ですが、山田さんが演じることで誰もが“これは(主人公の)丑嶋馨だ”と感じてしまうような強烈なキャラクターを確立してみせました。
それは演技力はもちろんですが、プロデュース能力が非常に高いからだとも言えます。山田さんは普通の役者じゃないんですよね。“コレだ!”と思った作品に没入できる稀有な俳優です。だからこそ、『山田孝之の東京都北区赤羽』や『山田孝之のカンヌ映画祭』のようにマイナーなテーマでも話題作に仕上げてしまうことができるし、映画監督としても才能を発揮することができるのだと思います」(寺脇氏)
演技派と呼ばれる俳優は数多くいるが、プロデュース能力にも長けた人物となると限られてくる。そんな山田孝之という役者について、寺脇氏はある“大スター”との共通点を感じると明かす。
「没入力という点では山田孝之さんは群を抜いています。同世代の他の役者を見渡しても彼のような才能を持つ人物はいません。ただ、過去を含めると、山田孝之さんは実は勝新太郎さんと似たところがあるなと感じることがあるんです。
もちろん山田さんは勝さんのような破天荒な人物ではないと思いますし、昭和の大スターと呼ばれる勝さんと21世紀に活躍している山田さんを単純に比べることは難しいとは思います。ただ、二人の活躍を見ていると、色々と重なるところがあるんです」(寺脇氏)