消費の主導権を握っているのは大人
――コロナ禍の巣ごもり消費でポテチ市場も底上げされましたが、一方でコロナ太りを気にして、より健康意識が高まっています。今後は特に大人の健康志向に配慮した商品開発の重要度が増しそうですね。
野間:さきほどの「じゃがいも心地」は女性にすごく響いている商品です。じゃがいもという素材そのものを、“ほくほく”とした食感と単なる揚げ物とは違う商品として、楽しみながら食べてくださっています。「プライドポテト」シリーズの「芋まるごと」なども食塩不使用で、塩分が気になる方に適しています。
ポテチは油で揚げてあることと塩分が高そう、というのがお客様の2大不満点ですから、「芋まるごと」も反響が大きくて、お客様センターに「この商品のおかげで、(塩分摂取過多を気にする)おじいちゃんと一緒に食べる機会ができ、ホントに感謝です」といった声をいただいたこともあります。
やはりご家族の消費の主導権を握っているのは奥様であることが多いので、これからも女性からも信頼をいただき、大人の方々からの購買につながるような商品を提供していくことはとても重要だと考えています。
──野間さんご自身も社内で重要なポジションに就かれていますが、さらなる出世願望などはありますか?
野間:出世して、このポジションを勝ち取りたいみたいな考えはないんですが、一緒に仕事できる仲間をどう増やしていくかを考えると、最終的にはポジションが重要になるという認識はしています。
ただ、私としては役職ではなく人として信頼されることをいつも意識しています。だから自分のチームのメンバーを絶対に部下とは言いません。そう言った瞬間に上下関係が発生してしまうわけで、上下の壁を作らず、これからも相談しやすい職場環境を維持していきたいです。
【プロフィール】
野間和香奈(のま・わかな)/広島県出身、39歳。18歳で上京後、東京農工大学に入学し、遺伝子工学を学ぶ。2004年に湖池屋に入社し、マーケティング担当に。入社17年目の現在、マーケティング本部マーケティング部次長として「湖池屋プライドポテト」をはじめ、湖池屋の商品全ブランドの管理を任されている。
●聞き手/河野圭祐(経済ジャーナリスト)
●撮影/内海裕之