社長も信頼を置く「ハイブリッド型」

――佐藤社長は「野間がダメと言った商品は出せない」と語るほど、野間さんに全幅の信頼を置いています。

野間:私自身が母親として、子どもを育てるうえでの食の大切さや安心感を、より深く考えるようになったことで、商品企画の面でもそうした視点が入ってより安心感を持っていただいているのかもしれません。当社の商品は主婦層が主力顧客層でもあるので、主婦目線や一般の方にどう映るかの観点から判断することが重要ですからね。

 もう1つは、私は周囲から“ハイブリッド型”と言われたりするのですが、私には何事も白黒はっきりさせたい男っぽい気質もあって、プラス、文系的な考えと理系的な見方の両方から物事が見られる点も、信頼していただいている要因かもしれません。

「理系出身だったことが日頃のマーケティング活動に活きている」と野間さん

「理系出身だったことが日頃のマーケティング活動に活きている」と野間さん

「理系頭」のマーケティング術

――野間さんは理系の大学(東京農工大)出身で遺伝子工学を専攻されたそうですが、研究開発部門に行かなかったのはなぜですか?

野間:確かに、学生時代の仲間も製薬や食品関連のメーカー、化粧品会社などの研究開発部門に行った人が多かったですからね。

 私も面接では「当然、研究開発希望ですよね」と面接官に聞かれましたが、「いえ、一番行きたくないです。営業がいいです」と答えていました(笑い)。

 学生時代は数学や化学といった科目が得意でしたので、理系の大学への進学が当たり前だと思い込んでいました。でも、いざ大学に入ってみると、狭く深くよりも、もっとざっくりとした大枠を捉えたり、世の中で注目されることや人気を博すものに対して、広くアンテナを張って考えたりするほうが好きなことに気づいたんです。

 入社後1年間は営業で、商品を販売していただいているスーパーのお店のフォローでした。入社2年目からマーケティング部門に異動しましたが、実はマーケティングという言葉さえ知らず、広告代理店の存在も知らなかったんです。

――いわば畑違いの部署で苦労したことも多かったのではないですか?

野間:入社2、3年ぐらいまでは周囲の目がすごく気になっていました。中学生の頃から人の言動を結構、敏感に感じ取るタイプで、自分はどう見られているのかが気になり、自己主張もしないほうでした。ただ、逆に言うとみんながどう思うかとか、一般の人たちがどう感じるかとか、そういう感覚は人並み以上に読み取れるほうかもしれません。

 もっと言えば、みんなが「いいね」って言いそうな感覚を何となく肌感覚でわかるとか、ここを外したらみんなから嫌われそうだなとか、そういう点は昔から何となく察することができていたように思います。商品をマス市場に広げていく時は、より多くの人に受け入れられることが重要ですので、際立ったもの、尖がった商品は少し丸めることも必要。そのさじ加減を整えるのは得意かもしれません。

 また、理系出身ですから、理論と実験データを照らし合わせながらどう判断していくかは得意なほうでしたし、現在のマーケティングの仕事の進め方も基本的には同じです。

 たとえば、AとBの事象を掛け合わせたらこんな商品ができるという仮説を立て、実際に販売したその商品がお客様に受け入れられなかった場合、何が問題だったのかを検証していく。そこは、文系より理系的な思考で突き詰める感覚が自分にあると思います。

湖池屋の新しい人気シリーズ

湖池屋の新しい人気シリーズ

関連記事

トピックス

西城秀樹さんの長男・木本慎之介がデビュー
《西城秀樹さん七回忌》長男・木本慎之介が歌手デビューに向けて本格始動 朝倉未来の芸能事務所に所属、公式YouTubeもスタート
女性セブン
有村架純と川口春奈
有村架純、目黒蓮主演の次期月9のヒロインに内定 『silent』で目黒の恋人役を好演した川口春奈と「同世代のライバル」対決か
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
離婚のNHK林田理沙アナ(34) バッサリショートの“断髪”で見せた「再出発」への決意
NEWSポストセブン
フジ生田竜聖アナ(HPより)、元妻・秋元優里元アナ
《再婚のフジ生田竜聖アナ》前妻・秋元優里元アナとの「現在の関係」 竹林報道の同局社員とニアミスの緊迫
NEWSポストセブン
小泉氏は石破氏に決起を促した
《恐れられる“純ちゃん”の政局勘》小泉純一郎氏、山崎拓氏ら自民重鎮OBの会合に石破茂氏が呼ばれた本当の理由
週刊ポスト
大谷翔平(左/時事通信フォト)が伊藤園の「お〜いお茶」とグローバル契約を締結したと発表(右/伊藤園の公式サイトより)
《大谷翔平がスポンサー契約》「お〜いお茶」の段ボールが水原一平容疑者の自宅前にあった理由「水原は“大谷ブランド”を日常的に利用していた」
NEWSポストセブン
かつて問題になったジュキヤのYouTube(同氏チャンネルより。現在は削除)
《チャンネル全削除》登録者250万人のYouTuber・ジュキヤ、女児へのわいせつ表現など「性暴力をコンテンツ化」にGoogle日本法人が行なっていた「事前警告」
NEWSポストセブン
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン