『女性セブン』で連載中のマンガ『トラとミケ』の単行本第3巻&LINEスタンプが発売された。同作はこの夏、アニメ化されTwitterにて配信される。そんな『トラとミケ』の魅力について、「RAG FAIR」のリードボーカル・土屋礼央は、こう語る。
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圧倒的に面白かった。すーっごく楽しかった。ほのぼのしながら読んでいたら、急に泣ける話になったり、これはヤバイぞ、と思いました。
特に惹きつけられたのは第30話「秋麗の候」から始まる、シングルマザーのカオルさんと一人娘のリコちゃんの物語です。第31話「清秋の候」では、離婚して名古屋で再出発した母子が、居酒屋の常連客である地域の人々と連れ立って水族館に行きます。リコちゃんは恐らく初めての水族館に大興奮したり、ひょうきんな大人たちに笑わされたりして、久しぶりに子供らしくはしゃぎます。
そして帰り道、お母さんにこう話す。《家族が増えたみたいだね》って。あれはかわいかったなあ。とてもよかった。この先もこうやってだんだん仲間が増えていくと本当に楽しいですよね。思わず妻にも薦めてしまいました。
このコロナ禍でギリギリの生活をしている人、生きていくために厳しい仕事をしている人は多いでしょう。でも『トラとミケ』では、同じく大変な日々を送りながらも、日常のどこかで喜びを見つけている。その積み重ねがあれば、充分幸せな人生になるんじゃないかなと思いました。
本書では、他人に喜んでもらえる幸せも随所に描かれています。第28話「炎暑の候」で、自分のせいで友人が死んでしまったと悔いる青年に、占い師が「人を幸せにするウソ」を説くシーンがあります。
その場では理解できなかった彼は、ある出来事がきっかけで、その言葉通りに生きるようになります。のちに彼は、かつて自分にお金をくれたおばあちゃんと再会するんですが、お金を返そうとしたら《あんたの役に立てたならそれでいいんだよ》とニコニコしながら突っ返されるんですよね。