「京の雅」にこだわらないラグジュアリーホテル

 最近話題になったところでは、「エースホテル京都」が挙げられる。高級デザインホテルの先駆けといわれ、アメリカを拠点として世界的に人気となっているホテルだ。そのブランドが京都にも進出した。

 歴史的建造物がベースになっているが、スニーカー姿のスタッフにアートや音楽など、近年のホテルトレンドでもある“ライフスタイルホテル”らしさに溢れている。そして、そこにコテコテの京の雅はない。

 フランスの高級食材のブランドとして知られるフォションが手がける「フォションホテル京都」の開業もニュースを賑わした。無論、美食ホテルというわけであるが、フォションピンクをはじめとしたブランドカラーがアイコンとなって独自の世界観を演出している。やはりそこにも京フィーチャーはない。

 ラグジュアリーでいえば「HOTEL THE MITSUI KYOTO」の開業も話題になった。こちらも歴史的な建造物のエリアがベースになっているが、伝統文化や工芸にフィーチャーしているものの、あからさまに“京の演出”をするわけではないところが格といえる。

 ゲスト目線としては料金も気になるところ。HOTEL THE MITSUI KYOTOの開業当初にチェックしてみた際にはさすがのラグジュアリー価格という設定だったが、実勢料金は下降傾向のようだ。ここに限らず、今後の需要回復・料金高騰を見越してラグジュアリー体験のタイミングも探りたいところだ。

 宿泊を主体にした施設では星野リゾートも進出。4月に「OMO3京都東寺」と「OMO5京都三条」を開業した。いずれも閉館したホテル等の運営を引き継いだものだ。

 星野リゾートはすでに嵐山で「星のや京都」を運営しているが、高級旅館と比較して今回の開業は比較的利用しやすい価格帯のOMOブランド。ホテルの新規開業には数年要すると前述したが、閉館ホテルの引き継ぎであればハードルは低い。従前の施設はコロナの影響で閉館したというから、まさにコロナ禍ならではの進出ともいえる。

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