その8月、牝馬と牡馬の出走頭数はどんなものか。出走牝馬は全部で6303頭。うち1~3着は1367回。この条件下での複勝率.217。牡馬(含セン馬)は出走1万1395頭。そのうち3着以内が2499。複勝率.219。盛夏の牝馬は牡馬と対等に渡り合っている。ただし牡馬を凌駕するわけでもない。
これが全月となると男子断然優位だ。牝馬の出走6万5312頭のうち3着以内は11942回。複勝率.183と下がる。牡馬の3着内率は.231。8月は明らかに牝馬が調子を上げている。
格言を疑え! と鼻息を荒くしたものの、「間違いない」だった。こういうのは疑惑を深めてこそ面白い。次は格言をひっくり返すぞ!
【プロフィール】
須藤靖貴(すどう・やすたか)/1999年、小説新潮長編新人賞を受賞して作家デビュー。調教助手を主人公にした『リボンステークス』の他、アメリカンフットボール、相撲、マラソンなど主にスポーツ小説を中心に発表してきた。「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆。
※週刊ポスト2021年7月30日・8月6日号