終戦を迎えると、軍隊や軍属系の学校は終戦と共に解体された。国のために死ぬんだと思っていた少年たちは突然解放され、新しい人生設計図を描けと迫られた。悩み、迷いながらも自分の道を決め、日本の復興を担っていく。
千さんは、「文化に勝ち負けはない」と、平和を祈り茶道を世界中に広める活動を始めた。
林さんは、編集者となりマスコミという立場で世の中へ情報を発信。兵学校時代のツテが雑誌作りに大いに役に立った。
盛田さんは、東京工業大学卒業後、兄が立ち上げたソニーに入社し「世界のソニー」への発展を支えた。
宮城さんは、早稲田大学在学中にテニスを始めると頭角を現し、世界で活躍して日本中を沸かせた。
今の日本があるのは、敗戦を経験し、それを必死に立て直した先輩たちのおかげだ。拙著『わたしたちもみんな子どもだった~戦争が日常だった私たちの体験記~』(ハガツサブックス刊)では、この4人のほか14人のお話を伺ってまとめた。
本の完成を前に、宮城さんは2021年2月に永眠された。敗戦と復興の体験が聞ける機会は、残り少ない。
(取材・文/和久井香菜子)