河野太郎ワクチン担当相は8月上旬、「1年くらいは持続する」と

河野太郎ワクチン担当相は8月上旬、「1年くらいは持続する」と述べていた(写真/共同通信社)

 そのため、弱ってきたワクチンの効果を高めるブースターとして、3回目を接種するわけである。

「実際に3回目接種を受けた人の感染リスクは、2回だけの人(接種後6か月)に比べて4倍以上低く、入院や重症化のリスクは5~6倍低い。この数字は3回目接種が進めばもっと上がっていくと思います」(ニシモフ医師)

 とはいえ、コロナ対策の「切り札」だったはずのワクチンを何度も打たなければならない状況に、「話が違う」と感じる人も少なくないだろう。

「ワクチンが、新型コロナに対する人類の闘いにおける画期的なゲームチェンジャーになるという当初の目論見は崩れました。それでもワクチンが現在の人類が取り得る感染対策のなかで、最も重要な戦略であることは変わりなく、打ち続けなければならない状況です」(ニシモフ医師)

 例年なら秋にはインフルエンザワクチンの接種も控えている。このままだと、しょっちゅうワクチンを打つことになりかねない。昭和大学客員教授(感染症)の二木芳人さんはこう言う。

「新型コロナは、パンデミックを起こしながら、目まぐるしく変異を繰り返しています。これまで人類が経験したことのない変異の規模とスピードです。

 そもそも、現在日本人が打っている遺伝子ワクチンは安く早く作れる半面、もともと“弱いワクチン”だろうといわれていた。デルタ株が猛威を振るう状況では“2回で終わり”ということにはならないでしょう。新たな変異が生じたりする可能性もあり、新しいワクチンが開発されるまで、3回、4回と接種を重ねることにもなりかねません」

 新型コロナについて、パンデミックが起きた当初、多くの専門家は「5年ぐらい経たないと決定的な変異は起きないだろう」とみていた。しかし、現実は、科学者の想定を上回って、感染力が高く重症化しやすいデルタ株が世界を席巻。さらに、世界を見渡せば南米ペルーなどで猛威を振るうラムダ株など、多数の変異株がある。

 それらが次から次に流行すれば、3回、4回接種どころではなく、短期間に打ちまくらないといけない――ということも考えられるのだ。年がら年中、ワクチンを打っていいのか。体に問題は起きないのか。それはまだ、誰にもわからない。

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