飲用てれび氏が続ける。
「一方で、彼女は自身のネタについて、『世間へのメッセージはひとつもないです』『私が勝手に腹立ってるだけっていう。それを見てくださったみなさんが共感していただいて、わかるわかるって笑っていただけたら、まぁまぁラッキーかな、ぐらいなもんで。世直しなんてひとつも思わない』(『お笑い実力刃』テレビ朝日系、2021年7月14日)とも語っています。
彼女が日常で感じる不満をテーマにしつつも、それをメッセージにまでは高めない。問題提起をしつつも尖りすぎないそんなスタンスが、世間的にちょうどよく、共感を呼んでいるのかもしれません」
世間の共感を呼ぶために社会問題に切り込んだ芸を披露するのではなく、あくまでも個人の実感に根差した芸風が結果的に人々の心に突き刺さる。そうした彼女の飾らない姿が2021年という時代と合致し、爆発的な人気を引き起こしているようだ。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)