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岸田文雄氏インタビュー「政府は楽観的すぎる見通しでコロナ対策を進めた」

岸田

インタビューに応じる岸田文雄・自民党前政調会長(撮影/平野哲郎)

 菅義偉首相の退任発表で、総裁選は風雲急を告げる状況となった。今秋に誕生する新首相の喫緊の課題が新型コロナウイルス対策なのは自明だろう。コロナの影響で、経済的に、また精神的に追い込まれ、女性の自殺者が増えているという現状もある。どう打開するのか。──「次の総理」の有力候補である岸田文雄・自民党前政調会長(64才)に聞いた。

「うちの子供は、男の子3人です。大学2年生になった末っ子と話していると、コロナ禍の学生は、本当にかわいそうだと感じます。息子も、授業はほとんどオンラインで、サークルや課外活動も満足にできていません。人生のなかで大切な経験になるはずの学生生活が、このまま終わってしまうのかと、先行きが見えない不安がすごく大きいと話しています。

 誰しも、授業料を払っているのだから、しっかり勉強をしたいと思っているはずです。それに、学生時代というのは、あとから取り返せない貴重な時期です。この時期の経験が、人生に大きな影響を及ぼすことも多々あります。その時期が失われてはならない。

 いまは学生の話をしましたが、皆それぞれコロナで何かを失っている。すべての人ができるだけ早く“日常生活”を送れるよう、私は全力でコロナ対策に取り組みます」

 そう語るのは、9月29日投開票予定の自民党総裁選挙に出馬表明した岸田文雄・前政調会長。岸田氏は、1993年に衆議院議員総選挙の広島県第1区で初当選し、以降は外務大臣や防衛大臣などの要職を歴任してきた。今回の総裁選を機に辞任が決まった菅義偉首相(72才)に代わる「次の総理」の有力候補だ。

「これまで政府は『たぶん大丈夫だろう』という楽観的すぎる見通しでコロナ対策を進めてきました。結果的に、コロナの変異スピードについていけなかった。対応が後手に回り、コロナまん延から1年半が経っても、入院さえできない人がいる医療体制しか作れなかったことは、大いに反省すべきです。いまからでも、楽観論は捨て去り、常に最悪の事態を想定した対策をとる必要があります。

 政府は、単発の対策を小出しにしてきました。しかし、大切なのは、『この時期までは頑張ってがまんをしてほしい』という全体の見通しを示すこと、併せて「それまでの期間、あなたにはこういう支援がありますよ」と適切な形で経済的な支援策をまとめて提案することだと考えます。

 まずは感染拡大を止めなければならないので、人流の抑制はどうしても必要です。ですが、先行きが見えないままがまんばかりするのは誰だってつらいですよね。私は少なくとも、来年の春まで継続する支援策を打ち出したいです」

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