その後、資料が検察から戻ったことで、河井氏側は使途等報告書などを訂正。党本部には、活動費のほとんどが機関紙や政策チラシの作成に使われたという報告をしたのだが、調べたのも河井氏側なら、チェックしたのも河井氏側。そもそもこれだけの金を、そんなことに使うのもどうかと思うが、柴山氏は「客観的な資料につきまして、報告を頂きましたので真摯に受け止めたい」と頷きながら述べていた。今の執行部では説明を尽くした認識だというが、“受け止めたい”ということは願望であって、“受け止めた”ということではない。
柴山氏自身、本当にこのお金が1円たりとも買収に使われていないと信じているのだろうか。というのも、会見を見ていて柴山氏のある仕草が気になったのだ。ニュースで流れた映像を見る限り「1億5000万円からは買収資金を出していないという報告だったと受け止めている」と述べながらも、「1億5000万」で思い切り首を横に振っている。まるで“いや、そんなはずないだろう”と心の中で否定しているように見える。自民党幹部としてそう発表したものの、無意識のうちに出てしまったこの仕草に、心の奥には疑念があるのかもと勘繰ってしまうのだ。
あれだけ世間を騒がせた事件に関する会見なのに、自民党のHPには何一つ情報は載せられていない。党本部は河井氏側が作成した書類を再調査もせず受け取って公表しただけだ。あちこちから自民党に対する不満が出るのも当然だろう。自民党総裁選の候補者たちも、口ぐちにこの問題の説明責任について自民党のあり方を問うているが、さてどうなることか。期待せずに見ていよう。