放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。空気階段、おぼん・こぼんとコンビ芸人の活躍についてつづる。
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書かずにはいられない芸人、浅草キッドの水道橋博士の力作『藝人春秋Diary』(スモール出版)がもうすぐ出版という噂をきいてか、この1週間芸人周辺で心を打つ事がつづく(ちなみにこの本、550ページ以上ある大作。推薦のオビは私が書いている。是非一冊お求め下さい)。
テレビの底力・楽しさ、芸人のたくましさをしみじみ知らされる2本の番組の上等な仕上り。私はテレビでは「ドキュメンタリー」と「笑い」が中心で「ドラマ」(作り話)はあまり見ない。ドキュメントで笑いがあって少しの涙、これを満たしてくれたのが『キングオブコント』の“空気階段”の優勝と『水曜日のダウンタウン』の“おぼん・こぼん THE FINAL”である。
デブで口ひげで借金まみれのクズ芸人が“空気”の鈴木もぐら。見るからになつかしの“レオナルド熊”を思わせる昭和味、相方の水川かたまりは見るからに神経質そうで慶應大学に入ったが友達ひとりもできないので3か月で中退という経歴はよく分かる。賞金1000万円を500万円ずつ。もぐらは借金返済と「100万だけはもらってすぐにギャンブルに行く」と言っていた。多分そうだろう。全額でも面白ければ博打に使ってもOKだと私は思う。芸への投資である。
かたまりは母親が「よく固まってるから」とこの芸名になった。賞金の500万円は親にプレゼント。なんせこの日まで月に10万円ずつ10年間ずっと仕送りしてもらっていたとか。ざっと計算しただけで10年間で1200万円のバンスである。500万じゃ全然足りない。それにしても2本とも見事なコントでした。SMクラブの火事騒動。これが下品にならずドラマチックに映画を丸々一本見たように感じさせたのはネタ設定と演技力の勝利。