前出・一石医師が言う。
「服用中のサプリについて詳しく聞く医師が少ないうえ、自己申告する患者さんも非常に少ないです。EPAと抗血小板薬を併用していた患者さんは『サプリは食品だから言う必要はない』と思っていたそうです。あるいは『医師が処方する薬に不満があってサプリを飲んでいる』と思われたくないのかもしれません」
そうした患者の考え方がさらなる薬の処方を招き、「多剤併用」が進む悪循環にもなりかねない。
「医師が患者さんのサプリによって薬の効果が減弱している可能性を把握しないまま『薬が効かないから』と降圧剤や糖尿病治療薬の処方を増やし、多剤併用に繋がることは十分あり得ます。サプリの利用者が増えた今、医師だけでなく患者さん自身も薬との飲み合わせにより注意すべきです」(一石医師)
具体的にどのような「危険な組み合わせ」があるのか。本誌・週刊ポストは日本健康食品・サプリメント情報センターが編集、日本医師会・日本薬剤師会などが監修した『健康食品・サプリメントと医薬品との相互作用事典』から、薬剤師の長澤育弘氏(銀座薬局代表)監修のもと、組み合わせと、その危険度(高・中・低)の一覧表を作成した。
「事典の出典は米国の健康食品・サプリメント等データベース『natural medicines』の日本対応版(書籍・オンラインで有料公開)で、これは約1200種類の健康食品やサプリメントの素材・成分の有効性、安全性、医薬品との相互作用などの科学的根拠について、学術誌掲載の研究論文をもとに統計的に評価されているものです」(宇野氏)
※週刊ポスト2021年11月5日号