(写真/AFLO)

『防弾少年団』としてデビューした当時は、ヒップホップグループとしての印象が強かった(写真/AFLO)

 指先、足先まで完璧を追求する動きは、プロが見ても惚れ惚れする完成度だという。さらに、ダンスのことがわからない人が見てもハッとする部分がある。

「パフォーマンスと表情がセットになっていることもポイントです。『血、汗、涙』や『FAKE LOVE』などストーリー性のある楽曲では笑顔を見せず、切なそうな顔で心境を伝えます。羽生選手など、表舞台に立つ人たちがBTSにハマるのは、その“見せ方”の巧みさが理由でしょう」(ARATAさん)

 BTSのファンであることを公言している小泉今日子(55才)も、アメリカのテレビ番組で『Dynamite』のパフォーマンスをするVの姿を見て、「この表情すごくない?」と驚いたと明かしている。

 日本では、BTSのパフォーマンスに注目が集まりやすく、楽曲やダンスの雰囲気をBTSに“寄せて”いるようなグループも目立つ。

 だが、彼らの人気の本質は、パフォーマンスの完成度ではないと、ニューヨーク在住の文筆家・佐久間裕美子さんが言う。

「BTSが成功したのは、ファンとの接続方法にあると思います。彼らのファンの中心はZ世代と呼ばれる若い人たちですが、この世代は“きれいじゃないといけない”“毎日違う服を着なくちゃいけない”といったSNSのプレッシャーや気候変動の脅威、経済的な不安など、さまざまな困難を抱えて生きています。現代に生きることに不安や孤独を感じ、ストレスを抱えるファンたちに、BTSのセルフラブのメッセージが響く。それによって孤独や不安、生きづらさから救われると感じるファンが多い。

 これまでのセレブリティーは憧れの対象だったのに対して、BTSはファンに寄り添い、一緒に立ってくれるアイドル。ファンと“人間愛”でつながっている。だから『ファンダム』(ファンたちによって作られる大規模なコミュニティー)が出来上がり、アーミーたちが固く結束してBTSを押し上げるのでしょう」

 そうしたアーミーたちの行動や思いに対し、BTSはしっかりと反応する。

『僕らは防弾:永遠の』という曲では、自分たちは7人だけではないと、アーミーの存在の大きさを歌い、今年7月に発売された新曲『Butter』では、人文字で「ARMY」を体現する振り付けがあり、これまで支えてくれたアーミーたちへの感謝を表現した。

 グループとファンの「絆」を象徴するのが、2019年4月のワールドツアー最終公演でRMが行った、以下の「伝説のスピーチ」だ。

《ぼくは自分自身を愛するために、皆さんを利用していた気がします。なので1つだけ言います。ぜひぼくを利用してください。ぜひBTSを使ってください。あなた自身を愛するために。なぜなら、みなさんが毎日ぼくたちに、ぼくたち自身を愛することを教えてくれるからです》

 BTSとアーミーとの結束は、お互いに愛し合うことで深まっていくのだ。

※女性セブン2021年11月25日号

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