第2戦で完封勝利をあげたヤクルトの高橋奎二は、元AKB48の板野友美の配偶者(時事通信フォト)

第2戦で完封勝利をあげたヤクルトの高橋奎二は、元AKB48の板野友美の配偶者(時事通信フォト)

「無料で簡単に見られるのは、第3戦のABEMAの中継だけでした。他はParaviやスカパーに加入しないといけない。たとえば、Paraviは初回登録で2週間無料ですが、野球ファン以外の人は、わざわざ個人情報を入力してまで見ようとは思わないでしょう。2週間の無料期間を終えた人はお金を払わないと視聴できません。

 とはいえ、中にはSNSの反応を見て日本シリーズに興味を持つ人もおり、“ネットやスマホで手軽に見られるなら視聴する”という潜在的な層がある。特に、第2戦は元AKB48板野友美の夫であるヤクルトの高橋奎二が好投を続けましたから、『一体どういう人なんだろう』と好奇心を抱いた人も多いはず。裾野を広げるには、ファン以外の人たちに興味を持ってもらうことが大事。その時、すぐにネットで見られるかどうかは重要です。

 特に、今の10代、20代はわざわざテレビの前に移動してチャンネルを付けるという習慣がない。日本シリーズを手軽にネットで見られないことで、野球界はファンを得るチャンスを失っていると考えた方がいい」

 今年5月には、NHK放送文化研究所『国民生活時間調査』で衝撃のデータが発表された。調査日にテレビを15分以上視聴した場合のみ『見た』として集計する同アンケートによれば、平日は10歳から15歳までは56%、16歳から19歳までは47%、20代は51%しかテレビを見ていなかった。5年前の調査ではそれぞれ78%、71%、69%であり、いずれも20%前後の大幅な下落だった。つまり、10代、20代のおよそ2人に1人はテレビを見ていない。その分、ネットやスマホに触れる機会が増加している。

「子供の野球人口は減少しているし、昭和の頃と違って好きなスポーツも多様化しており、プロ野球界は安閑としていられない。たまに放送される地上波の野球中継の視聴率を見ると、10代や20代の数字は微々たるものでしかない。ですから日本シリーズは権利関係を調整して、NPBのサイトで一括して、全試合を手軽にネットやスマホで見られる環境を整えてもいいかもしれません。

 日本シリーズは野球界最大のイベントで、興味のない人にアピールする良い機会ですから、底辺を広げる努力をするべきです」

 来年以降、日本シリーズのネット配信はどうなるか。

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