総額1000憶円超の「議員特権費用」

総額1000憶円超の「議員特権費用」

 2014年に“号泣会見”で注目を集めた野々村竜太郎・元兵庫県議は、計344回の「日帰り出張」をしたなどと嘘の収支報告書を県議会に提出し、政活費約913万円を騙し取ったとして2016年に有罪判決が確定した。

 富山市議会でも2016年に計4000万円に上る政活費の不正受給が発覚し、自民党会派12人、民進党系会派2人が辞任した。

 2017年に自民党の今井絵理子参議院議員との不倫関係が報じられた自民党の橋本健・元神戸市議は、印刷業者の架空の領収書を使い政活費約690万円を騙し取った詐欺の罪に問われ、2018年に有罪判決を受けた。

 地方議員といえば「海外視察」という名目の税金を使った“ご褒美観光旅行”もたびたび物議を醸している。

 2018年には北九州市議たちがビジネスクラスでヨーロッパに渡航し、“視察”の合間に飲酒やブランドショッピングしている様子が報じられた。

 昨年、本誌・週刊ポスト(2020年3月13日号)が千葉県議会の海外視察での「男女部屋飲み写真」を報じたが、そのビジネスクラスで渡米した視察は「予算2500万円」だった。元経産官僚で大阪府・市特別顧問の原英史氏が語る。

「日本の地方議員は“専業のお仕事”になっていることに大きな問題があると考えます。たとえばイギリスの地方議員はロンドン議会以外は無報酬の名誉職で、スウェーデンも基本的に無報酬、フランスも一部無報酬で、仕事をしながら議員を兼業でやっています。欧州やアメリカでは仕事を持っている人が、週末や平日の夜などに無報酬で地方議員の活動をするという形態が多く見られます。

 日本でも時間を費やして地方議会に参画し、政策立案できる議員は報酬を上げてもいいくらいですが、同時にボランティアで地方議会に参画していいという人との2段構造で選出できれば、税金のムダもなくなり、よりよい地方議会になるのではないでしょうか」

 無報酬の“名誉議員”を増やして地方議員を半分減らせば、年間800億円が浮く――。税金の使い道としてどちらが適切なのかは明白だろう。

※週刊ポスト2021年12月10日号

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