もうひとつの要因である「熱中症」も怖い。
「浴槽に浸かって体温が上がり過ぎると、夏場の熱中症のような症状が起きます。その状態が悪化すると意識障害が引き起こされ、浴槽内で溺死してしまうケースがある。
昨今はコロナで毎日マスクをしていますが、その分、喉や口の渇きを感じにくくなり、通常時に比べて水分摂取量が少ない傾向にある。そうした“隠れ脱水”の状態で風呂に入ると、熱中症の症状が進行しやすくなります」(同前)
この2大要因は高齢者ほどリスクが大きいという。高齢者入浴アドバイザー協会顧問で医師の植田理彦氏が語る。
「歳を重ねると動脈硬化が進んで血管が硬く、かつ脆くなることで血圧の急激な上下などに耐えられなくなる。そのため、ご年配の方の浴室死が多いと考えられます」
※週刊ポスト2021年12月17日号