(写真/時事通信社)

 2021年2月、女性蔑視発言について謝罪した森氏 (写真/時事通信社)

山田:そう考えると「好き」「嫌い」はまだしも、「妬む」「嫉む」という漢字まで女偏だというのは納得がいきません。私、「女々しい」は「男々しい」に漢字を変えてほしいと、ず〜っと思ってきました。

谷口:私も「嫉妬という字に女偏を使うのをやめようの会」会長だと言い続けてきましたし、男性が言うような「女々しい」女性になんて会ったこともありません。

 戦地での聞き取り調査では、男性が鉄砲を手に勇ましいことを言っている後ろで、女性がお腹を空かしている人たちにご飯を作って待っているんです。

 以前、沖縄で聞き取り調査をしているかたからも、こんな話を聞きました。「俺はハブを殺すのに、こうして、ああして」と武勇伝を語る“おじい”がいっぱいいる。その横で“おばあ”が「ハブって天ぷらにしたらおいしいのよね」と話してる……と。つまり“おばあ”は、とっくにハブを殺しているんですよ(笑い)。チャンバラごっこの続きみたいに「すごいだろ」と力を誇示しないと存在を証明できない“おっさん”が多すぎるんです。

 それから「女の腐ったような男だ」という言葉がありますよね。私、それを使った男性に「じゃあ、女が腐ったら男になるんですね。腐っても、まだ生きていけるならよかった」って言ったらその人、真っ赤な顔をして怒っていました(笑い)。ミョーなことを言う男性はいっぱいいますね。

女性の人数が多い職場は“おっさん集団”になる

山田:公共交通機関などでも、傍若無人な男性が目立つような気がします。

 その昔、『オバタリアン』という漫画が流行ったときは女性の言動ばかりが取り沙汰されましたが、男性だってひどい人はいます!

谷口:そうかもしれません。この間も新幹線が遅れたとき、対応に追われている駅員さんを捕まえて「どういうことだ! 早くしろ!」と怒鳴っている男性がいて。私、「ちょっと黙ってもらっていいですか? 駅員さんを通じて私たちに情報が来るんだから、駅員さんを独占しないでもらえませんか」と言ったんです。そうしたら、「お前みたいに暇じゃない」とか「俺を誰かわかってんのか」とか言い出して。「わかりませんねぇ」って返しましたけど。

山田:さすがです! ただ、「“おっさん”とは老若男女共通の病理だ」というのも谷口さんのお考えですよね? 女性も“おっさん”になる危険性を秘めている?

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