「プーチン氏の支持率は国内で70%近くありますが、足元は危うい。特に最近、もともとあったロシア国民の分断が顕著になっています。ソ連時代を知る中高年以上にとって、1990年代に広がった社会不安を立て直したプーチン氏は救世主。彼ら『ソ連人』は情報統制された国営メディアをうのみにし、プロパガンダを信じている人が多い。一方、30代以下の若い人はスマホで世界の情報に接しており、過去の苦難を知らないため、プーチン氏が救世主だとしてもピンとこない」
若者は、西側には政権にコントロールされないメディアがあることを知り、プーチン氏の嘘を見破っているだけに、国内の情報統制はさらに強引になっているという。
「ウクライナの産科病院が攻撃された映像は、ロシア国内では“CNNのフェイクニュース”と伝えられている。プーチン政権は戦時体制下で、事実をでっちあげてでも情報統制を強め、国内に反戦機運が広がることを抑えようとしています。反戦が反プーチンにつながる国内世論のうねりを恐れているのです」(佐々木さん)
民意に打倒されるのは歴史の常だ。プーチン氏はより追い込まれている。プーチン大統領研究の第一人者である筑波大学教授の中村逸郎さんが続ける。
「いま、プーチン氏は相当焦り、いら立っています。大統領に近い連邦保安局(旧KGB)幹部が情報漏洩の疑いで粛清されたとの情報があり、身内さえ信用できなくなっています。国防省幹部や参謀総長あたりが解任されるという話も出ている」
超大国トップの判断能力が疑問視されるなか、ある強大な権限の行方が注目される。それは「核のボタン」だ。
「ロシアで『チェゲト』と呼ばれる核発射ボタンのブリーフケースは、常にプーチン氏のそばにあります。彼が自暴自棄になってボタンを押すことを危惧する人は少なくありません」(竹内さん)
米ワシントン・ポスト紙も、「妄想に陥り、追い詰められると暴発する危険性がある」と、プーチン氏の「核暴走」の危険を報じた。もはや日本にとってもウクライナ侵攻は対岸の火事ではないのだ。
※女性セブン2022年3月31日号