国際情報

ロシア、SNS遮断で悪循環か「伝統的なアナログ思考」の戦い方が裏目に

(共同通信社)

追い込まれたプーチン大統領(共同通信社)

 ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、SNS上ではさまざまな情報や意見が飛び交い、世界で「反プーチン」の声が大きくなっている。また、ウクライナのゼレンスキー大統領は、SNSを使ってさまざまな情報を発信。ウクライナの民間人もSNSで国外へのアピールを積極的に行っている。

 その一方で、ロシアはツイッターやインスタグラム、フェイスブックなどの主要SNSへのアクセスを一斉に制限した。桜美林大学リベラルアーツ学群教授の平和博さんが説明する。

「プーチン大統領からすれば、ウクライナの惨状やロシア批判は邪魔でしかない情報です。だからネットを遮断し、政権に批判的な発言をしたら懲役刑を含む処罰を科す法律をつくった。プーチン氏はSNSが政権の基盤を危うくすることを恐れているはずです」

 政治的な意図に基づく宣伝工作を「プロパガンダ」という。プーチン氏のプロパガンダが功を奏した面もあり、ロシアに住む高齢者の中には「真実」を知らない人もいる。

 ロイター通信が伝えるところでは、ウクライナ北東部に住む女性がロシアに住む母親に電話して、「ロシアがウクライナを攻撃した」と伝えたところ、母親はこう返した。

「違う、そんなことはない。あなたの軍が戦争を起こしている。私たち(の軍)じゃない」

 情報に対して偽のファクトチェック(検証)も行われ、ロシアでは正しい情報がわかりにくい状況になっている。

 一方でプーチン政権に歯向かうロシア人もいる。

 3月14日、ロシアの国営テレビのニュース生放送中に女性がスタジオに飛び入りし、「戦争反対 戦争をやめてください」と書かれたプラカードを掲げた。ロシアの国営テレビ局に反体制の運動が登場することは極めて珍しく、映像は世界各地で報道された。

 この女性はウクライナ人の父とロシア人の母を持つマリーナ・オフシャンニコワさん。のちに彼女は“行動”の理由についてこう語った。

「言葉にできないくらい怖かったが、ウクライナでの戦争は私にとって最後の一線でした。これ以上、黙っていることはできませんでした」

 ロシア政治が専門の国際政治学者で筑波大学教授の中村逸郎さんは、ロシアの「分断」を指摘する。

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