1954年4月、集団農場での小麦の種まきの様子。場所は1961年までスターリノと呼ばれたウクライナ東部ドネウィク(SPUTNIK/時事通信フォト)

1954年4月、集団農場での小麦の種まきの様子。場所は1961年までスターリノと呼ばれたウクライナ東部ドネウィク(SPUTNIK/時事通信フォト)

 日本のエネルギーに対する対外依存は戦前とほぼ変わらない。むしろあの当時以上にエネルギー資源を常に確保しなければ日本そのものが終わるほどに、国民生活も含め対外依存は大きくなっている。食料などまさにそれで。

「そうですね。私は食料が専門ですが、たとえば中国はとくに牛肉と小麦が欲しい。以前牛肉の話はしたと思いますが、どんだけ小麦が欲しいんだってくらい、これまでも買い漁ってましたからね」

 肉に関してはこれまでも『憂国の商社マンが明かす「日本、買い負け」の現実 肉も魚も油も豆も中国に流れる』および『商社マンが明かす世界食料争奪戦の現場 日本がこのままでは「第二の敗戦」も』で言及してきたが、中国はその圧倒的な経済力と金に糸目をつけない「買い勝ち」で世界の食料を買い漁ってきた。国力の低下と円安、過度の品質へのこだわりはもちろん、改善書やら報告書やらに過剰な要求をする「めんどくさい客」としての商慣習により「買い負け」の日本。それとは対照的に中国は必要ならば十分な金を出し、細かいことには気にしない商慣習(国民性?)でアメリカと中国によるコンテナ輸送のドル箱路線を確立した。同じく拙筆『なぜポテトはSのままなのか 日本の港がコンテナ船にスルーされる現実も』でも言及した通り、ついには日本に寄ると損、とばかりに一部の船会社では日本に寄り渋り、抜港するようになった。

「もちろんウクライナからもロシアからも、中国は小麦を調達してきました。これからも両天秤でうまくやるのでしょう」

 中国はロシアのウクライナ侵略からすぐ、ロシア産小麦の輸入拡大を発表した。ロシアに対しては検疫による制限をかけていたが一気に方針転換した。そしてウクライナには1000万元の物資を送るとした。

「中国は世界トップクラスの援助国なんです。なんだかんだ、金を一番くれる人がいいでしょう。それを中国はわかっている。まして中国は金と一緒に物資も出すんです。貧乏な国はお金も喜びますが現物をもっと喜ぶ」

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