大地とさやか

大地真央ら大物ゲストのキャスティングも楽しみ

 ドラマの原作は『ビッグコミック』で連載中の同名漫画(漫画・大谷アキラ、原案・夏原武、脚本・水野光博)でとにかくテーマ設定が秀逸。不動産業者が正直なのか不正直なのか、という問いは一度でも賃貸したり売り買いしたことがある一般人にとって非常に興味深いものがある。私自身、不動産売買の経験が何度かありますが、その時とことん感じたのが「シロウトはあまりにも情報が少ない」ということでした。

 不動産業者との間の情報量の違い、いわゆる「情報の非対称性」。しかも不動産の売買は額が大きいために不安も大きくなる。それをこのNNK総合のドラマは堂々と解説し、見えない仕掛けを次々に明るみに出していく。情報が衆目に晒されていくのは痛快以外の何ものでもない。

「千三つ」とは不動産業において「千の言葉のうち真実は三つしかない」という意味。「両手」とは、売り手と買い手の双方から手数料を徴収し稼ぎを倍にする囲い込みの手法。専任媒介契約、仲介手数料の上限値、預り金にペアローン。何と無く知っているようで、詳細はよく知らないことだらけ。

 そして世を揺るがせたシェアハウス投資「かぼちゃの馬車」事件や施工不良問題等も記憶に新しく、シロウト客や個人の不動産投資家が損をしてしまう事例をたくさん見てきました。もちろん良心的な業者も存在しているけれど未だに少数派。業界と一般人の情報や知識の量がかけ離れていることは、厳然たる事実でしょう。

 そう、不動産業者を相手に交渉しようにもシロウトは太刀打ちできない。だからこのドラマはストーリーを楽しむ以上に、大人にむけた学習効果てきめんで、社会学習ドラマであり生き抜くための武装ツールにもなりうる。

 もう一点、ゲストにも驚かされました。山Pと親交が深いという理由からか俳優・山崎努が第1話の重要な役柄で登場してきました。来週第3話にはマダム役で大地真央が登場するとか。不動産の営業をテーマにした庶民派ドラマに、何ともアンビバレントな大物キャスティング続々というのもまた、奇妙な面白さを感じさせる理由でしょう。

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