イスラエルでは国を挙げて取り組む配達ドローンの運用テストでファストフードを運ぶ(AFP=時事)

イスラエルでは国を挙げて取り組む配達ドローンの運用テストでファストフードを運ぶ(AFP=時事)

受取る側の様々な協力があってこそ

 AIによって宅配は進化を遂げたが、結局のところ配るのは人間、その人間である配達員の技量に左右される部分も大きいと話す。

「一戸建ての場合も住所がわかりにくいとかあるのですが、わからなくてもお客様が『ここだよ!』と外に出て合図してくださったり、電話でも詳しく教えてくれたりしますが、とくに集合住宅の場合は事情があるのでしょうか、消極的です」

 あくまで彼の感想だが、荷物を頼み、受け取りたいのはお客のはずである。「本当に届けて欲しいのですか?」はもっともな話。ましてや置き配厳禁の上で時間指定をするほどに荷物が必要、かつ重要なはずなのに。

「ほぼ毎回の配送で時間指定に追われます。各コースのスタート時間からその日の担当エリアまで移動、着いたら時間指定をまずさばくのですが、渋滞などで遅れた場合、この到着時に指定時間に食い込んでいることもあります」

 これを聞いて、「なんだもっと早く出ればいいだろ」「早めに配っとけよ」というのは早計である。

「時間指定の前の時間に配ることはもっともしてはいけない配送です。あくまで時間指定は守らなければなりません。例えば18:00指定だとして、17:45に同じマンションの別の部屋に通常配送があったとしても、18:00~20:00指定の荷物をその時間に届けてはなりません。再度来るか、もう一周回るか、こんな感じです」

 大変な仕事である。なにげなく使う時間指定がこれほど大変とは。お客にすれば自分の荷物だけの話だが、配送員にすれば数百個の荷物と数百人の客がいる。

「こちらもプロとして誇りを持って日本の物流に携わっているつもりです。理不尽な対応にも慣れています。しかし時間指定で置き配なしの不在、それを再配達依頼で繰り返されると困ると同時に、悲しくなります」

 かつて大手フードデリバリーの配達員に同じような話を聞いた際「数多くの苦難を乗り越えてお届けして、バッド評価と300円を頂きます」という切ない言葉が印象的だったが彼らも人間だ。もちろん不届きな配達員もいるだろうが同じくらい、いやそれ以上の不届きな客がいる。本来は荷物を届けたい側と荷物を受け取りたい側で協力すべきなのに、なぜか配達員と客という契約を奴隷か手下、パシリのように使う残念な輩がいる。国土交通省及び厚生労働省も「運送事業者と契約関係にある発荷主がいくら物流改善に取り組んだとしても、着荷主の協力が得られなければ十分な取り組みの効果は得られない」と『荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン』でまとめている。これ自体は事業者間取引を想定したものだが、そっくり個配にも当てはまる正論である。

「このままでは値上げされてしまうでしょう。そうならないためにも、受取る側の様々な協力が必要です。そもそもお客様の荷物なのですから」

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