ジャーナリスト・横田増生氏が「神真都Q」の実態に迫る

ジャーナリスト・横田増生氏が「神真都Q」の実態に迫る

──(神真都Qの)悪口言ったら逮捕されるんですか。

「だってQですもん」

 藤倉は、イチベイが気さくに取材に応じてくれたとしながら、説明が十分ではなく、相手に分かってもらおうという気持ちが欠落しているように感じたと語る。

「話の前提には、神真都Qには、Q軍という独自の軍隊がついており、それが神真都Qに反対する警察や朝日新聞の幹部を逮捕したという筋書きがある。それを知っていないと、何を言っているか分からないような話を平気でするんです」

 もちろん、神真都Qの軍隊など存在するわけもなく、警察や朝日新聞幹部の逮捕も、まったくのウソでしかない。そんな簡単に分かるウソを、神真都Qのメンバーは信じるのだろうか。

「イチベイなどの幹部に対する批判はご法度です。オープンチャットで、イチベイはおかしいんじゃないか、とでも書こうものなら、おそらくディープ・ステイトの“工作員”とみなされ強制退室させられるようになっています。内部は相互批判などが働きにくい構造になっています」(藤倉)

 神真都Qのメンバーへの締め付けは、私が取材している時にも感じた。ツイッターで見つけたメンバーに私が取材を申し込むと、判で押したように「本部からの指示で取材は全てお断わりさせて頂いております」という答えが返ってきた。

コミューン化のその先

 そのイチベイにQアノンのことを入れ知恵したのは、ユーチューブのコンサルタントで、自称ハーフの40歳の男だ。神真都Qの創設メンバーの1人だ。

 この男は、もともと都市伝説系のユーチューバーだったが、動画の再生回数が伸びずにいた。そこで2020年後半のアメリカ大統領選挙前後にネット上ではやったQアノンの話を流し始めると、再生回数がそれまでの何倍にも増えた。それに味をしめQアノン関連の動画を流すようになる。その男に、ユーチューブ運営に関するコンサルティングを受けていたのがイチベイだった。当時を知る人物はこう語る。

「その男とイチベイが意気投合してそれぞれのチャンネルでQアノンについて語るようになりました。けれどQアノンの動画が、連邦議事堂襲撃以降、ユーチューブの規約に引っかかるようになった。そこに新たなネタとして反ワクチンの動画を流すと、また再生回数が増えたのです。

 イチベイやコンサルの男に何かの思想があったということではなく、単に再生回数を増やしていく途中に、Qアノンや反ワクチンという、ネット上で受けのいい話を取り入れていったにすぎない。要するに、動画がバズれば何だってよかったんです」

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