妖怪シェアハウス―帰ってきたん怪―

『妖怪シェアハウス―帰ってきたん怪―』での怪演も話題。松本は下段の右端(『妖怪シェアハウス―帰ってきたん怪―』HPより)

 そして今、『ホリディラブ』より彼女のハマり役ではないかと思っているのが、4月から放送されているドラマ『妖怪シェアハウス―帰ってきたん怪―』の四谷伊和役。言わずと知れた四谷怪談の“お岩さん”をモデルにした役で、ここにも” 怪”が付いている。

 ドラマは2020年7月のクールで深夜に放送された『妖怪シェアハウス』の続編で、ドラマの設定は突拍子もないのだが、これがものすごく面白い。小芝風花演じる気弱で空気を読むことだけが取り柄の主人公が、ボロボロのどん底に陥っていたところを、シェアハウスで暮らす妖怪たちに拾われ、直面するトラブルや悪い奴らを妖怪たちに助けられながら成敗し、成長し、羽ばたいていくという異色ホラーコメディ。今作はそんな主人公が、またもボロボロになってシェアハウスに里帰りし、一緒に暮らし始めるというストーリーだ。

 松本さんが演じるのは、シェアハウスに住む4人の妖怪のうちの1人。伊和の仕事はナースで、お岩さんらしく右目に眼帯をしている。お岩さんといえば、陰気でドロドロした感じをイメージしがちだが、こちらの伊和はテンション高めでアグレッシブ、“やられたらやり返す”を信条としている。主人公が大好きで心配で仕方がなく、過保護で過干渉な役どころ。ここに彼女のあざと可愛さがマッチして、クセの強さがよりチャーミングに、色気がコミカルに見えてくる。

 怪演とは正反対の淡々としたクールな役柄で印象に残っているのは、2019年に放映された松岡昌宏さん主演のドラマ『死役所』(テレビ東京)でのニシ川という役だ。この世を去った者たちが、最初に訪れ自分の死と向き合うという役所の総合案内で働く職員役は、決して笑わないミステリアスなキャラ。抑制の効いた演技ながら、あの独特の声が死後の世界という緊張感やひんやりとした空気感とぴたりと合っていた。このドラマもホラーといえばホラーで、“怪”という文字が当てはまる。

 今春、長期休暇を取ることをインスタグラムで宣言した松本さん。休養後は、きっとこれまで以上の素敵な怪演を見せてくれるだろう。

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