2019年7月13日、ニューヨーク大停電が起きたときの地下鉄駅。地下鉄が利用できなくなっている状況を説明する職員(AFP=時事)

2019年7月13日、ニューヨーク大停電が起きたときの地下鉄駅。地下鉄が利用できなくなっている状況を説明する職員(AFP=時事)

 電力貯蔵施設から供給される電気によって、急な停電が起きても新宿線を走っている電車は次駅まで移動できる。駅まで移動できれば、そこから地上へと避難が可能だ。こうしたシステムにより、乗客の安全が確保されている。

 蓄電した電気で、きちんと電車を走らせることができるのか? 6月25日の避難訓練は大規模停電という非常時に備えて、そのシステムがきちんと稼働するのかを試す訓練でもあった。

 東京都交通局と同じように、東京で地下鉄を運行する東京メトロはどういった備えをしているのか?

「東京メトロでは銀座線の全編成、丸ノ内線の一部に非常用車上バッテリーを搭載しています。大規模停電が起きた際、これらのバッテリーを使って次駅まで走行します。それにより、乗客は安全に避難できます。丸ノ内線は、2023年度までに全編成に車上バッテリーの搭載を完了する予定です」と説明するのは、東京メトロ広報部の担当者だ。

 銀座線と丸ノ内線は、他社線と相互乗り入れをしていない。その対策として、車上バッテリーを搭載して非常時に備えている。

 しかし、他社線と相互乗り入れをしている他路線はそうはいかない。他社の電車に手を加えることができないからだ。そこで、東京メトロは2016年に東西線と日比谷線、2017年に東西線と千代田線の計4か所の変電所に非常用地上バッテリーを設置した。

「東西線・日比谷線・千代田線に非常用地上バッテリーを設置したのは、3線に長大橋梁区間があるからです。長大橋梁区間を走行中に大規模停電が発生してしまうと、乗客の避難が困難になります。そうした乗客の安全を図るために、一時的に電気供給が可能な変電所を設置しました。これにより、次駅まで電車が走行できるようになっています」(同)

 こうした各社の取り組みによって、大規模停電が起きても乗客の安全が確保されているというわけだ。

 ちなみに、2022年3月にも大規模停電の危機があった。そのときに鉄道各社は使用していない券売機や路線図・運賃表の照明をオフにするなどして節電に励んでいる。その教訓を活かし、今回の電力危機においても鉄道各社は節電を実施している。

 しかし、「階段や通路は転倒・転落の危険性があるので、照明を落としたり暗くしたりはできません」(東京メトロ広報部)という。

 時代とともに鉄道は省エネ化し、電車を走行させるときに必要となる電力量は減少している。また、鉄道各社は非常時に備えて自家発電に取り組んでいるが、すべての電力を賄えるほどにはなっていない。

 幸いにも、これまで東京の機能が停止するような大規模停電は起きていない。奇しくも、電力危機は電気がある生活が当たり前ではないということを改めて考える機会になった。鉄道会社は信頼される公共交通機関となるべく、日頃から省エネ・節電・自家発電というリスクヘッジを講じて、今後も安全運行のための工夫を重ねていくことになるだろう。

関連記事

トピックス

高橋一生と飯豊まりえ
《17歳差ゴールイン》高橋一生、飯豊まりえが結婚 「結婚願望ない」説を乗り越えた“特別な関係”
NEWSポストセブン
西城秀樹さんの長男・木本慎之介がデビュー
《西城秀樹さん七回忌》長男・木本慎之介が歌手デビューに向けて本格始動 朝倉未来の芸能事務所に所属、公式YouTubeもスタート
女性セブン
雅子さま、紀子さま、佳子さま、愛子さま 爽やかな若草色、ビビッドな花柄など個性あふれる“グリーンファッション”
雅子さま、紀子さま、佳子さま、愛子さま 爽やかな若草色、ビビッドな花柄など個性あふれる“グリーンファッション”
女性セブン
有村架純と川口春奈
有村架純、目黒蓮主演の次期月9のヒロインに内定 『silent』で目黒の恋人役を好演した川口春奈と「同世代のライバル」対決か
女性セブン
芝田山親方
芝田山親方の“左遷”で「スイーツ親方の店」も閉店 国技館の売店を見れば「その時の相撲協会の権力構造がわかる」の声
NEWSポストセブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
離婚のNHK林田理沙アナ(34) バッサリショートの“断髪”で見せた「再出発」への決意
NEWSポストセブン
フジ生田竜聖アナ(HPより)、元妻・秋元優里元アナ
《再婚のフジ生田竜聖アナ》前妻・秋元優里元アナとの「現在の関係」 竹林報道の同局社員とニアミスの緊迫
NEWSポストセブン
小泉氏は石破氏に決起を促した
《恐れられる“純ちゃん”の政局勘》小泉純一郎氏、山崎拓氏ら自民重鎮OBの会合に石破茂氏が呼ばれた本当の理由
週刊ポスト
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
大谷翔平(左/時事通信フォト)が伊藤園の「お〜いお茶」とグローバル契約を締結したと発表(右/伊藤園の公式サイトより)
《大谷翔平がスポンサー契約》「お〜いお茶」の段ボールが水原一平容疑者の自宅前にあった理由「水原は“大谷ブランド”を日常的に利用していた」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン