この3つのCMだけでも草なぎさんに対する印象の違いがわかるだろう。雰囲気もイメージも異なるキャラクターなのに、そのどれにも彼は妙にマッチしていた。その理由を考えながら、彼について書かれた記事を検索すると、真面目、ストイックという言葉の他に、自然体、少年のような自由さ、シンプルなどの表現が並ぶ。自由で自然体と評される彼は、これほど有名なのに、これ!といった誰もが思い浮かべる固まったイメージがない。個性的なのにつかみどころがないのだ。
だから、どのイメージキャラクターにも自分を生かすことができる。だからといって、コマーシャルする商品やサービスより自分が前面に出すぎてしまうことはない。いい例が大人用オムツを試着する『エリエールアテント下着爽快プラス』(大王製紙)だ。これを見た時は、草なぎさんがこのCMに出るの?と驚いたが、飾らない雰囲気と柔らかい声、穏やかな表情から、大人用オムツへのハードルが下がっていくように感じた。シンプルに自然に商品やサービスを印象づけ、無理なくアピールしているのである。
つかみどころがないから、次にどんな草なぎさんが見られるのかわからない。予測できそうで予想できない。それが草なぎ剛の魅力だと思う。