一条ゆかりさん

「人の意見を聞いて、イラッとしたり、耳が痛かったり、その話を早くやめさせようとするのは、自分に思い当たるところがあるから」と語る一条ゆかりさん(C)山田英博

人が心の迷路にハマる理由とは?

 確かに!なのだけれど、なかなかに耳が痛いのも事実だ。

「人の意見を聞いて、イラッとしたり、耳が痛かったり、その話を早くやめさせようとするのは、自分に思い当たるところがあるからですよ。そこを指摘されると認めたくないので感情的になるの。で、心の葛藤を強いられた結果、自分の考えに執着するか、改善しようと思うか──ここが運命の分かれ道。意固地な人は幸せになれませんよぉ」

 なるほど~。「耳の痛いことを言う人は神様だと思え」という諺もあったっけ。

「でも多くの人は、誰かの相談を受けても耳触りのいいことしか言いません。親身になってアドバイスをしたら恨まれたなんて分が悪いもの。

 私だって『出会いがないんです』とションボリしてる人や、『夫が浮気しているみたいで』と打ちひしがれてる人を前に『自業自得だろ』とは言いませんよ」

 いやいや、先に紹介した新刊本の金言集には、〈そのままのキミはたいてい汚い。入口が汚いと誰もノックしてくれません〉〈夫や彼が浮気してる……あなたがそう思うなら、まずしてる〉といった言葉がズラリと並んでいますが……(汗)。

「アハハハ! 『かもしれませんよ』なんて曖昧な表現をするのは読者に対して不誠実だと思ったので言い切ってみました。でも、実は夫の浮気問題に関して、昔の知り合いの話なんだけどね、『夫が秘書と浮気しているんじゃないかと思って』と心を病んでいたんです。そのとき私は『絶対に大丈夫よ!』と言って励ましたんです。だってその人の旦那……ウ~ン、金はあるがかなりモテないタイプだと……」

 ここで心に刻むべきは、「女房の妬くほど亭主モテもせず」なのかなと思いきや、「どうして彼女は深い迷路にハマってしまったのか?」。ここに、教訓が潜んでいるのだという。

「どうして彼女はいつも悩んだり困ったりしているんだろうと考えた結果、問題は『暇』だからでした。暇って一瞬いいような気がするけど、人間暇だとだんだん腐っていきます。

 休暇がうれしいのは仕事を休めるからで、やることがない人は、だんだんつらくなります。

 彼女は寂しがり屋なので、暇だとロクな妄想をしません。定年退職したおじさんも寂しそうです。

 健康に過ごすためには、とにかく自分の頭と身体を暇にしないことですね。

 それと、自己崩壊を食い止めるために、自分がどんな穴に落ちやすいのか、どうすれば誘惑に勝てるのか、自分を客観的に分析することができたら、傾向と対策なんかも考えやすいです。受験生みたいね(笑い)」

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