消極的な考えの人を無理やり引っ張り出すのではなく、何より個人を尊重するのは、やはり「最高級」の強みだ。老化に伴う体の機能の衰えをカバーするリハビリも、天と地ほどの差が。
「“最高級”は理学療法士や作業療法士が担当します。“底辺”は何もしてくれないか、あったとしても接骨院の先生が来てくれる程度です」(佐藤さん)
先進技術の導入も差が出る。
「骨折事故を防ぐ超低床ベッドや徘徊防止のセンサー、眠りの深さを分析できるベッドなどを導入する “最高級”も少なくない。睡眠サイクルがわかればトイレ介助に入るタイミングもわかるなど、入居者の快適さにつながります」(佐藤さん)
では、「終の棲家」選びに失敗しないためには、どういった点に気をつけるべきか。太田さんは「高ければいい」わけではないと釘をさす。手頃な費用でも、熟練のスタッフを揃えた入居者にやさしい施設もある。
「施設見学で“人づきあいに不安があるが大丈夫でしょうか”と質問してみるのがいい。“うちはみんな仲がいいので、トラブルはありませんよ”と言われたら、その施設はトラブルに関心がないか、嘘を言っている施設であり信用できない。人が集まるところにトラブルはつきものだからです。“ある”と答えたら、どのように解決しているのですかと聞いてみましょう」(太田さん)
終の棲家で泣いて過ごしたくなければ、いまから準備しても早すぎることはない。
(了。前編から読む)
※女性セブン2022年9月22日号