ペリー:善児が因果応報を実感して死ぬというのがうまいですよね。
麻木:頼家に深手を負わされた善児を、弟子のトウ(山本千尋)が「父の仇、母の仇」と言って殺したのは、人間としての行ないですよね。人の心を持っている彼女が、これからどんな暗殺者になっていくのかも気になるなあ。
松村:トウはお師匠さまと呼びながら、心の中では「このやろう、いつか見てろ」って、相当、“負のポイントカード”を溜めていたと思いますよ。
麻木:カッコよく描かれていて意外だったのが、頼家の最期。大立ち回りの末に善児に殺されますが、あんなキャラだったから、もっとボロボロになって残酷に殺されるものと思ってました。
松村:三谷さんは金子大地さんの殺陣を見せたかったんじゃないかな。『草燃える』で郷ひろみさんが演じていた頼家はわがままで、比企の言うことをなんでも聞く将軍だった。でも『鎌倉殿』の頼家は比企にもちゃんとものを言えるし、俺は将軍だという気概もあったから、見せ場を作ってあげようと。
(第3回につづく。第1回から読む)
【プロフィール】
麻木久仁子(あさぎ・くにこ)/女優 1962年生まれ、東京都出身。学習院大学在学中に芸能界デビューし、バラエティ番組のアシスタントや報道番組のキャスターとして活躍。知性派タレントとしても知られ、歴史番組にも多数出演している。
ペリー荻野(ペリー・おぎの)/コラムニスト 1962年生まれ、愛知県出身。愛知教育大学在学中にラジオパーソナリティー兼放送作家として活動を始める。大河ドラマ・時代劇に精通しており、『バトル式歴史偉人伝』(新潮社)など、著書多数。
松村邦洋(まつむら・くにひろ)/ものまねタレント 1967年生まれ、山口県出身。九州産業大学在学中に片岡鶴太郎に見出され芸能界デビュー。日本史上の人物やタレント、プロ野球選手、政治家など幅広いものまねレパートリーを持つ。
※週刊ポスト2022年9月30日号