他球場はテラス新設で本塁打激増の例も
その間に、2015年にはホームランが出にくいことで知られた福岡ドーム(現・福岡PayPayドーム)がホームランテラスを新設。左中間と右中間を118メートルから112メートルに縮め、フェンスの高さも5.8メートルから4.2メートルにした。その結果、本拠地での本塁打が34本から77本に増えた。2018年には102本をマーク。チームも7年間にリーグ優勝3回、2位からも含め日本一に5回もなっている。
千葉マリンスタジアム(現・ZOZOマリンスタジアム)も2019年に外野フェンスを4メートル前に移動させてホームランラグーンを新設し、チーム本塁打数が80本も増えている。チーム成績も2020年から2年連続で2位となった。楽天の宮城球場(現・楽天生命パーク宮城)も2016年にホームランボックスを新設している。
立浪・中日は外野にテラス席を新設すれば優勝争いをするチームに変貌するのか。中日のバッテリーコーチ、ソフトバンクのヘッドコーチを務めた元広島監督の野球評論家・達川光男氏に聞くと、こう答える。
「ホームランテラスを作れば勝つチームになると思うよ。ピッチャーの質が高いからね。ホークスもピッチャーがいいので、自分のところのバッターはボンボン打つけど、相手は全く打たんじゃない。甲斐拓也が3年連続で2ケタのホームランを打ったくらいだからね。フリーバティングを見ていても、ちょうどテラス席に入る飛距離なんだよ。中日も平田良介はフェンス直撃の打球が多い。“どんなに振ってもホームランにならない”と嘆いていたが、テラスを作ればそんな選手が生きてくる。3番や5番に入る阿部寿樹が9本じゃ、中日はそりゃ勝てないよ」
今季の中日がホームで勝ち越し、ロードで大きく負け越していることについて達川氏はこうみている。
「本拠地のドームでは相手にもホームランが打てないから善戦しているだけで、つなげる野球をしているわけではない。ソフトバンクもそうだが、ドームを本拠地にしているチームは温室育ちで屋外球場に弱い。立浪監督が熱望しているなら、客席にもなるわけだから作ればいいんじゃない。あとは和製のホームランバッターを育てること。サヨナラホームランが出ないような球場ではファンも盛り上がらないと思うよ。ホークスがファンに後押しされて強くなったのもそれだもの」
立浪監督の発言を受けて、同球場の広報担当者は「現状では予定していない」とコメントを出して対応したものの、優勝したヤクルトの村上宗隆が55本打って132打点を叩き出したことからも、ホームラン増がチームを押し上げることはたしかだろう。テラス席新設の話が急展開することも考えられるのではないか。