五十肩は「安静第一」
藤縄氏は、日常的な肩こりでも見逃せない危険なサインがあるという。
「肩や首まわりが重く感じるだけでなく、腕にしびれが出たり、指に力が入りにくくなる症状があったら病院を受診したほうがいいでしょう。神経が圧迫されている危険なサインです」(同前)
間違った姿勢だけでなく、日常の何気ない動作や癖が肩こりの原因になっていることがある。
「あぐらは、普通にしていても背中が丸くなり悪い姿勢になります。脚を組むのも、側弯と呼ばれる背骨が左右に傾く状態になるので、組まないか、左右をバランスよく組み替えることが大事です。
カバンの持ち方も、左右バランスよく負荷がかかるリュックにするか、肩掛けや手持ちの場合は左右バランスよく入れ替えることが大事です。靴が悪いと腰や下半身の負担にもなるので、クッション性のあるものがお勧めです」(同前)
睡眠時の姿勢も大事で、「枕」が重要になる。
「高すぎず低すぎず、首の部分だけが高くなっている枕がいい。仰向けで寝た時に頭部が水平になり、首を支えて胸にかけて下がっていくラインが理想です。あごが上がってしまうのは、首の部分が高すぎです」(同前)
肩の痛みで気をつけたいのが、「四十肩」や「五十肩」だ。これは肩こりとは別の症状だという。
「肩の関節にある、腕を上げたり捻ったりする際に使われる筋肉(腱板)の損傷により発症します。悪い姿勢で腕を上げるなどして腱板が肩甲骨に引っかかり、炎症を起こすのが四十肩や五十肩の原因のひとつ。肩こりとは違って腱や筋肉の組織が損傷しているので、治療は“安静”が第一。痛みが治まったら、腱板を痛めないような背すじを伸ばした良い姿勢での腕の上げ方を身につけることが必要です」(同前)
※週刊ポスト2022年10月21日号