1979年7月25日、国鉄・品川駅でブルートレイン「さくら」の展示・開放が行われた。車両をカメラに収めるチビッ子ファン(時事通信フォト)

1979年7月25日、国鉄・品川駅でブルートレイン「さくら」の展示・開放が行われた。車両をカメラに収めるチビッ子ファン(時事通信フォト)

「旧国鉄マンも少なくなりましたからね。それはそれでサービス向上に繋がりましたが、撮り鉄を怒鳴り散らすような強面もいなくなりましたし、一応は撮り鉄も『お客さま』ですから、鉄道各社も昔に比べれば甘めですね」

 国鉄時代に比べたら本当にサービス精神向上、優しい職員ばかりになったJR、私鉄もそうだが、かつてとの違いは『時代の流れ』であり、それはそれでいい事ずくめのはずだが、それに甘える「撮り鉄」を増殖させてしまったということか。

「もちろんそれだけではないですよ。デジタルカメラの普及も大きい。昔はフィルムでしたから、その場で確認なんかできませんし、すぐに作品を見ることも叶いませんでした。だからテクニックも要求されたし、そもそも鉄道撮影に耐えるカメラ一式となると高価なものでした。いまは気軽に結果がわかり、安価にスマホで撮影ができます。昔に比べればデジタル一眼レフですらプロ仕様を求めなければ安いし、肝心の現像代もかかりませんからね」

 筆者も1990年代の新人時代、取材先でカメラマンを兼ねることがあったが「ちゃんと撮れているだろうか」と現像が上がるまで不安になったものだ。いまその心配はない。大掛かりな機材を持ち歩かなくても、ネット記事やモノクロページで小さく使う程度の写真ならスマホでも十分に耐え得るし、多めに撮影して保険もかけられる。昔は小さな出版社では現像代でうるさく言われることもあったがDTPの時代にあっては歴史の話。このハードルが低くなった時代の流れ、鉄道撮影の趣味にも同じことがいえるのだろう。

「でも一番大きいのはインターネットですね。それもSNSだと思います。ネットでも初期は自分の鉄道写真ホームページなんて作るのが大変でしたし、多くのホームページは拡散力皆無で誰も見てくれませんでしたが、いまはアカウントさえ取れば気軽に自分の作品がSNSで世界中に発信できる。その代わり、さっき挙げていただいたよからぬ事案も拡散される。行儀の悪い『撮り鉄』もまた世界中に可視化されるようになったということです」

 SNSの普及はあらゆる社会の表層を可視化することになったが、かつての「バカッター」しかり、昨今の「撮り鉄」もそういうことなのか。

「あと撮れ高の相対化もあるでしょう。昔は写真を撮っても個人で満足、あるいは雑誌に投稿、もしくはグループや部活で見せ合う程度でしたからね。でもいまはSNSに上げても大半はスポットが限られますから、どうしても他の人と構図が似てしまう。有名スポットも穴場スポットもすぐネットで拡散しますから、集まる数も半端ない。人と違う写真を撮りたいとなると、どうしても誰もいない場所、つまり立ち入ってはいけない場所で撮影しようとするのではないでしょうか」

関連記事

トピックス

水卜麻美アナ
日テレ・水卜麻美アナ、ごぼう抜きの超スピード出世でも防げないフリー転身 年収2億円超えは確実、俳優夫とのすれ違いを回避できるメリットも
NEWSポストセブン
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
退職した尾車親方(元大関・琴風)
尾車親方、相撲協会“電撃退職”のウラで何が…「佐渡ヶ嶽理事長」誕生を目指して影響力残す狙いか
週刊ポスト
5月13日、公職選挙法違反の疑いで家宅捜索を受けた黒川邦彦代表(45)と根本良輔幹事長(29)
《つばさの党にガサ入れ》「捕まらないでしょ」黒川敦彦代表らが CIA音頭に続き5股不倫ヤジ…活動家の「逮捕への覚悟」
NEWSポストセブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
田中みな実、寝る前のスマホ断ちで「顔のエラの張り出しがなくなった」 睡眠の質が高まり歯ぎしりが軽減された可能性
田中みな実、寝る前のスマホ断ちで「顔のエラの張り出しがなくなった」 睡眠の質が高まり歯ぎしりが軽減された可能性
女性セブン
AKB48の元メンバー・篠田麻里子(ドラマ公式Xより)
【完全復帰へ一直線】不倫妻役の体当たり演技で話題の篠田麻里子 ベージュニットで登場した渋谷の夜
NEWSポストセブン
”うめつば”の愛称で親しまれた梅田直樹さん(41)と益若つばささん(38)
《益若つばさの元夫・梅田直樹の今》恋人とは「お別れしました」本人が語った新生活と「元妻との関係」
NEWSポストセブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン