2000年1月、「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリに選ばれる(写真/産経新聞社)

2000年1月、「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリに選ばれる(写真/産経新聞社)

いつも新鮮

 映画『ロボコン』(2003年)の古厩智之監督は女優・長澤の凄さをこう評する。

「なんか、いつも新鮮ですよね。演技の世界に慣れることなく、常に新しい分野に挑戦していく。そういう女優ってあまりいない」

 長澤は古厩監督の言葉を地で行っている。2020年の『MOTHER マザー』では息子に祖父母殺害を教唆するシングルマザーを演じ、新境地を開拓。2020、2021年とブルーリボン賞で史上初の2年連続主演女優賞に輝いた。

 多彩な作品に「飛び込む」ことで、長澤の気持ちも変化した。

 2021年、デビュー20周年を記念して発売された自身の写真集『ビューティフルマインド』(宝島社刊)内で桃井かおりと対談した際、『クロスファイア』の撮影時に言われた「ヤル気がなかったらやめていいのよー」という言葉を振り返って、長澤はこう述べた。

〈大人になって初めて、なんて深い愛情のある、そして役者の仕事の奥深さを感じる言葉なんだと理解できました〉

 上京した頃、弱音ばかり吐いていた少女は、一流の女優に成長したが、古厩監督は長澤にさらなる高みを求める。

「今の女優としての彼女の姿は生き方そのものだと思う。これからも飛び込んで新しい長澤まさみを見せ続けてほしい」

 国民的女優への階段をのぼりつめた長澤のシンデレラストーリーはまだ終わらないだろう。

(了。前編から読む

※週刊ポスト2022年12月2日号

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