『おもしろディナーショー』での有吉と佐藤(提供)

『おもしろディナーショー』での有吉と佐藤(提供)

佐藤栞里 の常軌を逸した“お笑い愛”

 そしてもうひとり『有吉の壁』には「モンスター」がいると橋本は言う。佐藤栞里である。

「有吉さんの、芸人に愛情を持って、瞬時に『○』『×』どちらを出したほうが面白くなるかを判断するって相当大変なことだと思うんですけど、実は栞里ちゃんもスゴいんですよ。どこでネタを切って『有吉さん、判定は?』って言っていいかとか、普通なら大パニックになると思うんですけど、それができてしまう。これはなかなかスゴいことだと思います」

 当初は、絶対にアシスタントは佐藤栞里で、という考えではなかった。事実、特番1回目では起用されていない。しかし、起用してみて、その芸人愛に驚いたという。

「めちゃくちゃ芸人さんをリスペクトしているんですよね。普通に芸人さんのライブに行くとプライベートで観に来ていたりしますから。本当にただ好きなんです。それって実はすごい大事で、自分が目立ちたいとか、オイシくなりたいとかまったくないんですよ。たぶん彼女は『一番いい席で面白いものを見れて私、幸せ』っていうスタンスなんですよ。それって最強じゃないですか。仕事だと思ってない。テレビにおいてそれって見てる人に一瞬で伝わりますから」

 語り草になっているのは箱根でパンサー尾形がドクターフィッシュに扮し「角質を食べる」といってスタッフらの足を舐めているところで、佐藤栞里も振られ、躊躇せずに足を差し出したシーンだ。

「尾形さんに足舐められるって、絶対引くじゃないですか。でも、栞里ちゃんは面白そうって思っちゃうんです。相当ヤバいですよ(笑)。お笑いへの愛がなければ、絶対にやれないと思う。そういう意味でもすごい信頼していますね」

後編に続く)

【プロフィール】橋本和明(はしもと・かずあき)/1978年生まれ。東京大学大学院修了後、2003年に日本テレビ入社。現在は『有吉ゼミ』、『有吉の壁』、『マツコ会議』を担当。

◆取材・文 てれびのスキマ/1978年生まれ。ライター。戸部田誠の名義での著書に『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『タモリ学』(イーストプレス)、『芸能界誕生』(新潮新書)、『史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記1980-1989』(双葉社)など。

『有吉の壁』(日本テレビ系)
毎週水曜よる7時放送。MC有吉弘行が設けた「お笑いの壁」に気鋭のお笑い芸人が体を張ってチャレンジするバラエティ番組。12月21日(水)よる7時から「寅年の壁を越えろ!年末伊豆2時間SP」が放送。MC有吉弘行が選ぶ2022年有吉の壁優勝者も発表。

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