新宿御苑のショーパブ「昆」でしゃべりと歌を披露したら、すごい人気になっちゃって、新宿の有名なライブハウス「ルイード」からスカウトされました。「ルイード」のステージは、多くのミュージシャンが勉強のために見に来ていたらしくて、久保田利伸や、後に『THE BLUE HEARTS』で世に出た甲本ヒロト、老舗芸能事務所・田辺エージェンシーの社長らが来ていたそうです。話題になって、2年連続超満員の記録を打ち立てたんですよ。
「ルイード」での盛況ぶりが注目されて、レコード会社7社からスカウトがきました。ちょうど「そろそろオリジナルを作ろうよ」と話していたからCBS・ソニーと契約。ところが、ディレクターが上から目線の生意気なタイプで気に食わなかったから、同じソニーグループのエピックへ。エピックには佐野元春とか鈴木雅之とか仲のいいやつがたくさん在籍していましたから。当時は「オレらがレコード会社をもうけさせてやる」ぐらいの意識でしたね。
自信があったわけじゃないんです。ハッタリがすごかった。世の中をなめて通ってやる、と思っていたんでしょうね。テレビ番組に出ても、わざとカメラのレンズを手で押さえて映らなくしちゃったりして。本番前にカメラマンさんに断って演出していたんですけど、テレビを見ている人は「なんだ、こいつら」と思ったでしょうね。でも、それで視聴率が上がったから、あちこちの番組から呼ばれて引っ張りだこに。面白かったですよ。
ところが、アルバムのほうはすごい先生たちが手がけてくれたのに鳴かず飛ばずで。それで、「オレたちに書かせてくれませんか?」って言って書いて出したのが、『WON’T BE LONG』が入ったアルバム『BORN TO BE FUNKY「ファンキーで行こう!!」』だったんです。それがドーンといっちゃったんですよね。