ビール類市場は最盛期だった1994年を100とすると、コロナという特殊要因があったにせよ、2022年は59%の規模にまで縮小した。酒類の多様化や高齢化の進展、発泡酒と第3のビール増税から、2026年に向けても市場の急拡大は見込めない。
ビール類再興のためには、まずアサヒは販売数量の公表を再開するべきだろう。実態がわからないものに、消費者が支持を強めるとは考えにくい。しかもビール類は税金が高い担税品であり、実態をクリアーに公表するのはメーカーの責務でもある。酒税は国税だが、地方税であり税率の高い自動車は、軽を含めて毎月メーカー各社は販売台数を公表しているのだから。そもそも、2020年からアサヒが公表をやめたのは「キリンに追い上げられ、抜かれそうになっていたから」(業界関係者)という指摘もある。
「過度なシェア争い」には弊害はある。だが、健全な企業間競争があってこそ、新たな価値は生まれやすい。上位2社が併走するビール類業界だが、生活者に寄り添うだけにわかりやすい存在であるべきだ。