スポーツ

女子プロレス・スターダム創業者が振り返る「愛川ゆず季と歩み始め、たった1人で会場設営していた頃」

スターダムの生みの親ロッシー小川氏

試合のカードの選定から遠征時の運転手まで行ったロッシー小川氏。「世界の女子プロレスをリードする存在に必ずなってくれていると信じています」とも語った(写真/小倉雄一郎)

 近年、格闘技人気が再燃している。その中でも女子プロレス団体・スターダムの人気は群を抜いている。創業者のロッシー小川氏は全日本女子プロレスに入社して以来、プロレス業界歴は45年、現在もマット内外に大きな影響を与えている。2011年1月23日に旗揚げして12年、男女含めたプロレス業界で観客動員数2位の地位に登り詰めたスターダムの歩みはどのようなものだったのだろうか。小川氏にスターダムの運営の戦略と将来の展望について話を聞いた。

旗揚げから会場は満員 半年後には後楽園ホールに進出

「2010年3月に風香という選手が引退し、同時期に当時人気のグラビアアイドルだった愛川ゆず季を『プロレスラーとして活動するので面倒を見てくれ』という話があったんです。デビューまでの半年間、風香を愛川ゆず季のコーチに付けてレスラーとして育てたのがすべての始まりです」

 有名グラドルのプロレラーへの転身は当時スポーツ紙や雑誌などで大きく取り上げられた。

「スターダムの前に運営していたアルシオンがうまくいかなかったので、プロレス団体の運営は正直もうやりたくなかったんですよ。それでも風香が『ほかにもプロレスをやりたい女の子がいる』とプロレス教室を開講し、そこに続々とレスラー志望の新人が集まって来ているのを見て、『このメンバーだけで団体を作れるな』と再び情熱が高まりました」

 2011年1月23日、旗揚げ戦は小さな会場ながら450人もの観客が集まり満員で順調なスタートを切った。早い段階で現在に繋がる枠組みが設けられ、シングル王座とタッグ王座を創設、ユニット(派閥)を作りユニット間の対立構図を明確にし、ファンはその抗争に盛り上がった。半年後に後楽園ホール進出にも成功。旗揚げから半年で後楽園ホールクラスの会場で興行を成功させるのはプロレス業界としては異例だった。ここまでの成功を小川氏は「すべて計算していた」という。愛川ゆず季はデビュー年の2011年から2年連続で東スポ主催の「女子プロレス大賞」を受賞し女子プロレス界のスター選手となっていく。ほかの選手たちも順調に成長を続け、生え抜きのスターが次々と誕生する。その裏で小川氏は文字通りたった1人で団体の屋台骨を支え続けた。

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