――資金繰りが厳しいのではと思ったのはいつ頃か。
「2021年の春頃には疑念をいだいており、夏頃には経営が傾いていると認識していました。その頃から、小島氏から『経営資金が足りない』『スタッフに給与が払えない』『モニターさんへの報酬が滞っている』という連絡が頻繁にあり、たびたび追加の出資を求められるようになったのです。ただ、私としては昨年の夏頃までは小島氏のことを信用し、言いなりになって追加出資を重ね、周囲にも『挽回するしかない、頑張ろう』と話していました。そうした脇が甘い言動も、いまは大変反省しております。
グランシールド社としては、当初は『X』から3億円ほどが入金されましたが、小島氏から『X』の運転資金などに追加の出資を求められてきたので、いままでで自己資金として総額5億円強をクリニックに出資しています。
患者さんにモニター報酬の遅延について説明する際、『ウクライナ情勢』を理由にしましたが、あれは小島氏をかばうため、安易な誤魔化しをしてしまいました。その点を含めて、杜撰な認識、管理をしていたことについては深く反省しております」
――『X』はいくら売り上げ、いくらの未払いがあるのか。
「モニター契約をした患者さんからの集金を含めて、売上は総額で約27億円。モニター報酬で返金したのが10億円くらいです。残りのうち、医師らへの報酬やマウスピースの材料費、『X』の開業・運転資金がこの3年間で約9億円と見積もっています。そうすると差し引きで、クリニックに8億円ほど残るはずなのですが、このお金が現状、どこに行ったのかわからない。昨年7月には、弁護士の立ち会いのもとで、『X』の経営管理をしていた小島氏を問いただしたのですが、きちんと説明がないまま、連絡がつかなくなってしまいました。小島氏が飲食代などで、月に数百万円規模の経費を使っていた痕跡があり、そのような小島氏を信頼していたことは、大変に申し訳ないと思っています」
――小島氏が経営の中心にいた?
「お金の流れを把握していたのは小島氏です。我々の代理人弁護士に対しても、小島氏は『自分がXの実質的な経営者。お金の流れもすべて把握していた』と話しています。
グランシールド社としては、小島氏やアーサー社には、患者さんへの返金のためにも『X』の運営に関する口座情報の開示や情報共有を求めていますが、いまだに対応してくれません。すでに弁護士を通じて話をしていますが、このままこうした対応が続くようでしたら、法的措置も検討することになります」