予想されるM7クラスの首都直下地震

予想されるM7クラスの首都直下地震

「ひとたび地震が起きれば救出・救助活動や消火活動が最優先です。幹線道路は歩行者を含めすべて通行止めにし、それらの活動に集中しなければなりません。道路をゾロゾロと歩いて帰ろうとする行為は、救助・消火活動の邪魔をすることにほかならない。もちろん、帰宅者も裏路地に入ったら、いつ火に囲まれるかわかりません。火災が収まるまでは、都心にとどまった方が安全なのは間違いありません」

 危険なのはもちろん都心ばかりではない。武蔵野学院大学特任教授で地震学者の島村英紀さんが指摘する。

「江戸川区、葛飾区、江東区、足立区、荒川区、北区、練馬区、杉並区、世田谷区、大田区などは住宅密集地のためリスクが高い。また、新宿区も駅の西側の住宅が密集しているところや、文京区でも古い住宅の多い地域は危険度が高い。

 23区の西側と多摩地区の大部分が含まれ地盤が安定している武蔵野台地でも、台地の端は地滑りが起きる可能性が否定できません。造成されているように見えても雨水で緩む可能性もあります。日本に住んでいる以上、被害想定のリスクが低い地域にいても、絶対に安全というわけではないのです」

 2019年に台風19号によって武蔵小杉や二子玉川が浸水・冠水し、新しいタワーマンションに甚大な被害が出たのは記憶に新しい。たとえ地盤がよく住宅が密集していない地域で、新築の家に住んでいても、安全というわけではないのだ。

「杉並区に向かう善福寺川、豊島区の神田川、石神井川などの周辺は土地が低い。川によって運ばれてきた堆積物により地盤が緩くなっていたり、埋め立てられていれば液状化のリスクも高くなる。農業用ため池を埋め立てた土地が崩落したこともあります」(島村さん・以下同)

 新興住宅街と呼ばれるエリアでも、安心はできない。都営団地のような建物のほか、光が丘や緑が丘などは、飛行場跡地や工場跡地に団地をつくり、イメージを変えるために地名を変更して販売しており、こうしたケースでは基礎工事が甘いことが考えられるという。

「これらの場所は建築基準法の耐震基準が見直された1981年より前につくられた古いアパートや民家が多く、阪神・淡路大震災のような火災を招く危険が決して低くありません。池袋も駅周辺は開発されていますが、少し西に行くと、同様の住宅密集地。道路幅も昔ながらの4〜5mと狭く、簡単に飛び火します」

(第3回につづく)

※女性セブン2023年3月16日号

最新版 首都直下地震危険地域ワースト10

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荒川、足立、墨田、葛飾、台東の危険地域

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