『ラス・メニーナス』この部屋の主役は誰か?

ベラスケス ラス・メニーナス 1656年 油彩 カンヴァス 320.5×281.5㎝ プラド美術館 マドリード

ベラスケス ラス・メニーナス 1656年 油彩 カンヴァス 320.5×281.5㎝ プラド美術館 マドリード(C)PPS通信社

【ベラスケス『ラス・メニーナス』(1656年)】
 17世紀のスペイン、城の中の一室には王の家族や親戚、王女の世話係、画家など様々な人物が11人も描かれているのが、ベラスケスの『ラス・メニーナス』だ。真っ先に目がいくのは、中央にいる王女。暗い部屋で最も光が当たり、髪やドレスが輝いて見える。彼女がこの部屋の主役なのか──。この名画について解説する。

●描かれている人物たち

【1】王女マルガリータ
 スペインの王女。世話係や遊び相手に囲まれ、5歳くらいの年齢だが、堂々とした佇まい

【2】画家ベラスケス
 画家はこの絵の中に、カンヴァス前に立って絵を描いている自分自身の姿も描いた

【3】王妃マリアナ【4】フェリペ4世
 スペインの王と王妃。宮廷画家ベラスケスがカンヴァスに描いているのはこのふたり。だが、絵の中では鏡の中に小さく描かれている

【5】【6】【7】王宮で働く人々

【8】【9】王女の世話係
 王女の身の回りの世話をするふたりの女性

【10】【11】王女の遊び相手

●この部屋の主役は画面の外にいる!

主役は実は…

主役は実は…

 この部屋の主役は、鏡の中に小さく映る【4】の王と【3】の王妃だった。これは国王夫妻を描いている最中の場面。全員の位置関係は別掲のイラストの通りで、夫妻は絵の中で最も小さく描かれている。この絵の鑑賞者は、王と王妃の立ち位置から部屋を眺めていることになる。鏡像を活かした斬新な構図なのだ。

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