2人は、福岡県篠栗町にある同じ幼稚園に子供を通わせる保護者として2016年4月に出会った。お互いに夫との間に3人の子供がいたこともあり、徐々に親交を深めてゆく。ところがしばらくすると赤堀被告は、「ママ友がLINEグループで悪口を言っている」と利恵受刑者に吹き込み、自分だけが味方であると強調し始めた。洗脳の第一歩だ。
その後、赤堀被告は、共通のママ友を“暴力団とつながりのあるボス”に仕立て上げ、その存在をちらつかせることで主従関係を作り上げていった。
出会って2年後、赤堀被告は“ボス”がトラブルを解決してくれたと利恵受刑者に伝える。
「私たちが他のママ友の悪口を言ったなどとして、そのママ友から裁判を起こされそうになったが『ボス』が介入してくれたため、私たちが50万円ずつ支払う示談が成立した」
これを信じた利恵受刑者は、トラブル解決のための示談金として50万円を赤堀被告に渡した。この“ボス”によるトラブル解決は全くの嘘だったが、赤堀被告は実在のママ友を“ボス”としてキャラ付けしてゆき、利恵受刑者を操り始めたのだ。
「ボスが金を取り戻すため、ママ友に対する裁判を提起してくれるが、裁判で勝つためには贅沢な生活をしてはならない。裁判の内容について家族にも誰にも話してはいけない」
こんな条件を守るように言われ、違反すると罰金を課されるとも告げた。さらに利恵受刑者は赤堀被告から「周辺には多数のスパイが配置され、家の隣に監視カメラが設置されている」「多数のママ友が参加するグループLINEが作られ、そこでも監視されたり、悪口を言われたりしている」などと聞かされ、 罰金等として多額の現金を赤堀被告に渡した。